Dropboxのユーザー数が1億7500万人に

 ストレージサービスであるDropboxのユーザ数が1億7500万人に達したという。すでに日本の総人口を5000万人近く上回るユーザ数である。一方MicrosoftのSkyDriveは2億5000万人であるという。単純な比較はできないかもしれないが、Dropbox強しと見てよさそうではある。

Dropbox、ユーザー数が1億7500万人に(ITmedia)

 特定の種類のファイルに紐付けされない無色透明なストレージサービスとしては、Dropboxのイメージが強い。どんなファイルでもとりあえずフォルダに投げ込んでおいて同期させれば、他のPCやモバイルと簡単に共有できてしまうからである。特にスマホタブレットが普及してきて、ますますその重要性が増したと思われる。インスールできなかったAndroidアプリのファイルなどは、PCからapkファイルを探してダウンロードしておき、Dropboxフォルダに移動かコピーしておけば、Android機とPCをUSBケーブルで接続したりせずとも、Android機側でDropboxフォルダを開いてタップすればすぐにインストールできてしまう。一般のデータももちろん同様である。現実的にはPC側のベタのテキストデータが一番手軽で役に立つ。


 その点SkyDriveやGoogleドライブなども、ある程度Officeファイルの共有を主たる目的としている。その意味では既存のOfficeユーザなどがユーザになりやすいことは確かだろう。しかしモバイルではOfficeファイルが主役ではない。モバイル同士のファイル共有などの場合にはDropboxの方がしっくりくる感じである。もっとも自分のタブレットにはDropboxGoogleドライブ、SkyDriveおよびBoxのアプリが揃ってはいる。


 DropboxはMITの学生発だというが、Facebookハーバード大の学生発、Googleスタンフォード大の学生発だった。つくづく米国にはこうした新しいサービスを生み出すだけの下地があると思わせられるが、日本ではなかなか世界に向けたグローバルなサービスは生まれないのは、社会の仕組みか文化の差なのだろうか。

Firefox OS搭載のモバイルが出荷

 Firefox OSと聞けば、Web OSのChrome OSを連想してしまうが、これはMozillaが開発のオープンオソースのモバイルOSのことである。同じオープンソースAndroidに対抗するものといえるのだろうか。そのFirefox OS搭載のスマートフォンが発売されるという。

Firefox OS搭載「ZTE Open」、スペインで7月2日に発売(ITmedia)

 ブラウザの世界では先行していたFirefoxだが、後発のGoogle Chromeに追い上げられ現状のシェアは頭打ちが微減くらいではないだろうか。またモバイルの世界ではAndroid用のGoogle Chromeの方が同じGoogleでしっくりくる感はする。そんな中でモバイルの時代とはいえ、MozillaもモバイルOSに参入してきた。確かにそれが実現されればFirefox OSとブラウザFirefoxは相性が良いことになるだろう。


 問題はこれからFirefox OSを搭載するモバイル機種をどれだけ獲得できるかになるだろう。モバイルOSへの転換で失敗した例にはHPが買収して手放したwebOSがある。いくらOSとしては優秀であったとしても、実装するハードウェアが現れなれければ普及には及ばない。Firefoxの人気からして、当面は欧州での広がりを期待するのだろうか。それが今回スペインやドイツで初めて登場することから窺える。


 しかしながら現状ではモバイルのOSやブラウザよりも、やはりアプリ関連のストアの充実が一番問題と思われる。Google Playのような多くのアプリを提供できるかどうかだが、それはまたOSの普及度合いによることになる。twitterFacebookのようなメジャーなアプリは提供できようが、ゲームなどを含めて一般ユーザを引き付けるだけのアプリを揃えるのはなかなか大変だろう。AmazonKindleストアも同様だが、こちらはもともと電子書籍が充実しているのでユーザが集まる。少なくとも電子書籍などでAmazonと提携できた方がいいかもしれない。というよりAmazonAndroidを徹底的にカスタマイズしまくるくらいなら、KindleFirefox OSを採用したらどうか。


 タブレットのブラウザにはChromeFirefox Betaも入れているのだが、Firefox OSはお目にかかることはあるだろうか。国内ではKDDIが出すということではあるが。

検索エンジンAltaVistaが終了へ

 Yahoo!もCEOが代わって大幅なサービス終了の改革が進んでいるようだが、その中でおや?と思ったのがAltaVista終了のお知らせである。

AltaVistaがついに終了へ(ITmedia)
米Yahoo!も“大掃除”で幾つかのサービスを終了(4.22)

 インターネット初期の頃の、まだ「検索エンジン」という定義すら定かではなかった時代に、Yahoo!はかろうじて出ていたが、英語のWebページを今のGoogleのように検索する最強の検索サイトはAltaVistaだったように記憶している。日本国内のサイトはまだまだ少なく、重要なページや面白いページは米国のサイトという印象だった。それを光速で検索できるのがAltaVistaだった。


 それがだんだんYahoo!の検索が一般的になっていき、Googleが登場してからはそのシンプルさと高速さでそちらに傾いていったのだが、いつのまにかAltaVistaは存在すら忘れるようになっていった。LycosやExciteなども同様である。昔は検索するときに複数の検索エンジンを使うというのがテクニックであり、複数の検索エンジンで同時に検索してくれるページのサービスもあった。


 そのAltaVistaは2004年にはYahoo!傘下になっていたとは知らなかったが、検索そのものはPowered by Yahoo!になっていたという。現在はPowered by Bingになっていたというが、本家Yahoo!がそうなっているのだからさもありなんである。Yahoo!そのものが検索エンジン事業が黄昏なのだから、その傘下で検索エンジン専門にやっていたAltaVistaがその役割を終えるのは自然な成り行きだろう。検索エンジンの歴史はインターネット発展の歴史の1つでもある。同じ時期にブラウザとして一世を風靡したNetscape Navigatorとともに記憶に残るサービスではあった。逆に考えれば、忘れられていたとはいえ、2013年まで存続していたというのは驚きでもある。

公務員のソーシャルメディアの私的利用

 選挙のネット利用が解禁されたが、一方で公務員のtwitterでの暴言事件があっったことから、ソーシャルメディアの私的利用の注意がなされているという。社会人としてはずいぶんとレベルの低い話であると思える。

国家公務員のソーシャルメディア私的利用の留意点、総務省が..(INTERNET Watch)
国家公務員のソーシャルメディア私的利用の留意点(PDF)

 twitterが国内でも普及してきた頃、国会議員がツイートするのに熱心で会議に遅刻するなどという話もあったが、今はソーシャルメディアの利用の公私混同が問題であるといえる。ソーシャルメディアが便利になったとはいえ、利用する側の意識が高くなければ問題が発生したときソーシャルメディアそのものの存在自体を問題視されて規制に乗り出されかねないからである。特に公的な立場の人間は、すぐに世の中の反応を得られるからといって、うかつな利用は避けるべきだろう。


 これがマスコミなどであると、オフレコ発言やら発言の文脈の一部だけを切り取って歪曲して報じて批判につなげるという恣意的行為が入ることがある。しかしネットは本人が投稿している文章ならば、仮に曲解されようがそれは本人の責任であることは明らかである。それゆえ公私をわきまえた発言をしなければならないのは当然である。選挙活動での演説の内容と同様である。


 公人が全く私的にソーシャルメディアを利用したいのならば、自分の公的業務とは切り離した部分で利用すべきである。仮に誰かがその正体を暴いたとしても公的業務とは無関係の内容だけになっていれば問題は生じない。それを匿名をいいことに、悪い意味での公務での「本音」を晒したりするから問題になる。役人などは、あるポストにいる間は役所としての立場を貫いた主張をするが、いざその任が解かれ私的な立場になったときには、全く逆の立場の発言をしたりするという話を聞いたことがあるが、人としてはどうなのかはともかく、公私を区別するという点では正しい態度ではある。ネット上で気軽に、自分の立場を忘れたかように振る舞うのが意識の低さといえるだろう。


 そもそもいくらソーシャルメディアの時代だからといって、巷で人気があるtwitterFacebookだのに国やら自治体やらが単にそれに乗っかるだけの利用はどうなのかという気はする。ましてやそれらは海外発の民間のサービスなのである。それほどソーシャルが政治や行政にとって重要な道具だと考えるのであれば、独自のソーシャルメディアのシステムを自らが開発して国民や市民に参加を呼びかけてはどうなのだろうか。すでに多くのユーザが集まっているところだから、安易にそれを利用しようとしているだけにしか見えないのである。

ネット活用の選挙運動の効果は

 参議院議員選挙まであと3週間となったが、政局とは別に今回から選挙運動にネットが解禁されたことが話題となっている。マスコミがさかんと報じる割には一般国民にとっては、何を今さらというところではないだろうか。

ビッグデータで“票読み”を 参院選、事実上スタート(ITmedia)
毎日新聞、立命館大と協力して“ネット選挙”分析..(INTERNET Watch)

 これまでは候補者にとって選挙公示以降は、ネットでの情報発信が禁じられていた。それまで毎日更新されていた政治家のブログやツイートがパタリと止まって、むしろ違和感を感じるところだったのではないか。


 最近はスマホのゲームアプリの画面の中にまで政党の広告が入り込むようになっている。選挙に全く関係のない場面にまで入り込むのは、ある意味うっとうしい。若い人への選挙への関心を高めることとは少々意味が違う気がする。もっとも候補者に関心がなければ、どうでもよいことであり、選挙前にポスティングされる選挙公報の方が煩わしいものだった。そういった無駄なポスティングや日中から住宅街に入り込んでスピーカーで投票のお願いを連呼されることが少なくなるのならば、ネット選挙運動にもメリットはあるかと思える。


 しかしおそらくそうはならずに、ネットの中が騒がしくなる一方だけのようにも思える。ネットでの選挙運動が企業の広告・宣伝と同じように捉えるのであれば、候補者は売り込みたいだけの商品と同様である。商品は消費者は購入したら実際手に取ってみられるものだから、それなりに慎重に検討するが、候補者は選挙さえ終わってしまえば有権者からは遠くに行ってしまうような存在である。あまり身近なところまで入り込んで宣伝はしてほしくないものである。


 ネット利用の選挙といってもブログの更新などは読みたい人だけが読めばよいが、twitterなどのソーシャルでリツイートしまくりなどはやめてほしいものである。自分が関心のあることが他人にも関心があるとは限らない。あくまで特定のコミュニティを組織してその中だけで活動をしてほしいものである。ネット選挙活動の選挙違反などはどういう形になるのだろうか。


 ネットでの選挙活動の影響力を一番気にしているのは既存のマスコミであるように思える。これまではマスコミが候補者の優勢、劣勢を事前に報じるものだから、それが投票行動に影響するようなこともしばしばあった。マスコミはその影響力が自分たちの矜持でもあったろう。そして往々にしてマスコミのアンケート調査の結果とネットの中での調査結果が異なることもあった。どちらの結果が正しいとは言わないが、マスコミの方が世論操作しようとしているのではないかと見える。ネットはそもそも一部の人間が世論操作しようとしたとしてもチャネルが多過ぎるので不可能なのである。インターネットの理念は「真の民主主義の道具」なのである。恣意的なマスコミがどうこう決めつけられるものはないだろう。

Androidマルウェアがモバイル全体の92%に

 Androidにもウイルス対策が必要な時期が来ていると思われているが、Androidマルウェアがモバイル全体の92%にもなっているという。

Androidマルウェアがモバイル全体の92%に、企業標的の攻撃も(ITmedia)
Android史上「最も高度なマルウェア」、Kaspersky Labが報告(6.10)

 これは急速にAndroid端末の普及の数が増大していることからターゲットにされやすくなり、かつてのWindowsのような状況にあると思われる。有料のウイルス対策ソフトもPCのときのように、また脅威を誇張しながら自社製品の宣伝をするようになっているから、煩わしいところではある。


 脅威といっても端末アプリに対するもの、人間に対するフィッシング、端末データの搾取などが複合されたマルウェアが存在して、通常の対策ソフトでは検知できない高度なマルウェアも存在しそうで頭が痛い。とにかく怪しげなアプリはインストールしないことが基本であろう。


 正規のアプリであっても位置情報やら年齡やら、少しでも個人情報に近いものをインストール時に要求するようなアプリはその真贋を疑ってしまう。一応そのアプリの情報をネットで調べてからインストールすることもある。


 やはり根本的な原因はモバイルが個別アプリを大量にばらまくというスタイルにある。PCと同じWebアプリはモバイルでは見にくいから専用アプリになっているわけだが、ネットに繋がるにせよ、PC側からきたユーザにとっては昔のPCの時代のときのような違和感を覚える。自分もタブレットの容量が32GBあるので「アプリを入れまくり放題だよ」などと自嘲的に言うことがあるが、それはその専用アプリのスタイルに対する皮肉でもある。ともあれ、現在はアプリ全盛ではあろうが近い将来的にはモバイル向けのWebアプリの形になっていけば、マルウェアも減少傾向になっていくだろう。PCと同じようなマルウェアと対策ソフトのパターンファルのイタチごっこになるのは避けるようになってほしいものである。

MicrosoftとOracleがクラウドで手を組む背景

 MicrosoftOracleクラウドで提携する背景をロイターの記事が論じている。Oracle側としては新興企業に事業基盤を侵食されることを食い止めることだとしている。

形勢一変とはならないが─長年のライバル・MicrosoftとOracleが..(ITmedia)

 簡単に言えばMicrosoftOracleはビジネスユーザを囲い込んでクローズトの有料サービスを提供するベンダーである。AmazonGoogleは全く売り物が異なるのだが、その道具として出現してきたクラウドサービスにMicrosoftOracleの既存ユーザの関心が向いていき、経費節減のためのこともありクラウドへ移行しつつあるということだろう。これはOracleが買収したSunがなぜ消滅していったかとも関連がある。Sunのワークステーション市場が安価なPCサーバー市場へと移行していったためである。そしてそのPCサーバー群の再編成されたものがクラウドだというインフラ的な見方もできる。


 だから事業基盤を侵食されるというのとはやや異なり、時代とともにユーザの関心が移り、結局ベンダーそのものが事業内容そのものを変革しなければユーザを繋ぎ止められない状勢となってきたわけである。AmazonGoogleMicrosoftOracleと同種のサービスを展開しだしたからではない。MicrosoftNokiaの提携についても同様に見ることができる。Nokiaにとっては従来の携帯電話ユーザの関心がスマホに向かい出した頃から業績が落ちはじめ、スマホから参入したAppleGoogleの後塵を拝することになり、MicrosoftにしろPCでは独占状態だったOSがモバイル分野では後塵を拝することになったことから、そのモバイル分野での凋落傾向に歯止めをかけたい両者の提携だったといえる。同様にただちに「形勢一変とはならない」点でも共通している。


 今後のクラウド分野での1つの鍵はデータベースにあるといえるだろう。これまで大企業向けの有料サービスであるOracleデータベースやSQL Serverであるが、中小企業向けや一般のLAMPなどのWebサービスでは圧倒的にMySQLであった。Sunの買収に伴ってMySQLの権利もOracleに移ったとはいうものの事実上MySQLユーザをコントロールすることはできないだろう。ただクラウド上ではデータベースはMySQLのままとはいかなくなるだろう。もともとMySQLは単一サーバー向けのデータベースであり、クラウドの複数の仮想サーバーの連携には向いていない。クラウド向けのSQLサーバーが必要となるがそれがAmazonGoogleが提供するもので足りるかどうか、その辺の評価はまだ確定していない。ビッグデータの時代といわれるだけに、単にサーバー運用を楽にするというだけのクラウド導入ではなくて、よりヘビーな処理を必要とする分野でのクラウドの市場はまだこれからの可能性も高い。そういう伸びしろを期待しての提携と見ることもできるだろう。