ローレライ

 フジTVで、見るとはなしに「ローレライ」の映画を見た。わりと最近の映画だ。あまり最近は邦画を見ることがない、というより映画そのものを見ることがない。たまに深夜にやっている洋画を見ることくらいか。根が単純なせいか、考えすぎたり結末のはっきりしない映画は疲れるので、あまり好きではない。ヒーロー物や勧善懲悪物で十分だ。
 原作者は「戦国自衛隊」の人だね。それだけで大体のストーリー展開は予想できた。昔は戦争物の映画は重苦しい雰囲気があったが、原作や配役のせいもあるかもしれないが、だいぶ軽くなったというか娯楽映画に近い感じがする。これも時代の流れか。


 役所広司は「Shall we ダンス?」のイメージが強いが、艦長役としてはまずまずの貫禄か。乗組員はテレビドラマの面々のイメージだった。ローレライの女の子は現代的すぎかな。
 さてローレライとは、終戦間際にナチス・ドイツから同盟国の日本に渡った潜水艦の秘密のシステムという設定だが、第2次大戦中のUボートに関しては当時のドイツの科学技術の水準の高さを示す様々な謎がある。それが戦後、いろいろな小説や映画の題材にもなっている。最近のITの話題で言えば、電気信号の暗号技術であるEnigma暗号もその1つだ。記録映画で見たことがあるが、当時よくこんなものを考えたものだと思った。


 潜水艦で思い出されるのが「サブマリン707」のマンガ。戦時中、伊号潜水艦の艦長だった速水艦長が、戦後、謎の潜水艦グループと対決するために707に乗り込み復帰する。敵の正体がわかってみれば、それはドイツUボートの生き残りで、司令官は速水のかつての戦友であった。
 それと小説でヴェルヌの「海底2万マイル」。ストーリーは忘れてしまったが、子供心にワクワクさせるような感動的な話だったことだけ記憶に残っている。潜水艦の名はノーチラス号。後に原潜の名前にもなっている。今Linuxでフォルダを一覧するソフトがNortilusというが、フォルダの中に深く潜行するイメージなのだろうか。
 「ローレライ」の原作者も世代からして、きっとこれらのイメージがあったに違いない。戦争物は重苦しいものだが、潜水艦には少年の心に冒険心やロマンを膨らませるものがあった。