俳優の石立鉄男さん死去

 名脇役といえる石立鉄男さんが急死したとのこと。若い頃のドラマの内容はあまりよくは知らないが、当時はあのアフロヘアのおじさんかという印象は残っている。

「パパと呼ばないで」石立鉄男さんが急死

 近年の役では、「遠山の金さん」の沢庵役が好きだった。初登場時は遠山奉行に敵意を抱く忍びの1人だったが、金さんの恩義を受けてからは、金さんの配下としての役割を果たすようになる。

 もともと時代劇は好きな方だが、松方弘樹バージョンの遠山の金さんでは、沢庵を含めたこの頃のドラマの展開、チョイ悪松方の金さんのお白州でのいくつかの口上といい、一番面白かったと思う。


金さん「悪事千里を走るの例えもあるが、どんなに上手く逃れたつもりでも、うぬらの悪事、この背なの桜がすべてお見通しなんだよ!」(片足を踏み出して見栄をきって桜吹雪を見せつける)
悪人「・・・うおおぉっ!き、きんのじ!」(腰を抜かす)
良人「金さん!」(感動の表情のヒロイン)
悪役人「おのれー、遠山あー」(短刀で切りかかるが、金さんに手首を捻られ空中で1回転してお白州に落下し取り押さえられる)
そして、その顛末をお白州の脇からそっと覗いていて、安堵の表情の沢庵


 それと、あまり一般には知られてはいないだろうが、石立さんは関係者にはよく知られた熱烈な将棋ファンであった。普段着のままで、将棋関係の場にもよく顔を出していたようだ。


 自分も子供の頃は将棋が好きだったこともあり、将棋道場に通っていた。大人になってからはほとんど行くこともなくなったが、ある時期だけ復活したことがある。そのとき、ある道場にたまたま石立さんが指しに来ていて、対戦することはなかったが、隣の席に並んで対局したことはあった。


 石立さんが将棋盤の端の駒を落としてしまい、それを拾ってあげたら「ああ、どうも」と言われたのが、唯一の接触であった。有名人だからといっても、普通に接するのがマナーでもあるから「沢庵役を見ていましたよ」とは特に言わなかったが、今となっては一つの思い出ではある。ご冥福をお祈りします。