ラストサムライ

 チラ見だったが、ラストサムライを見た。24時間テレビや女子バレーボールも同時間帯にやっていたがパッとしないので、迷わずこちらを見た。
 ラストサムライといえば、アカデミー賞ノミネートの話題ばかりが先行していて、内容は見たことがなかったが、渡辺謙のハリウッド映画出演作では先に硫黄島からの手紙」を、やはりテレビで見たことがあった。最後は「バンザイ突撃」をするようなあたりは、どちらの作にも相通じるものがある。


 さて主演はトム・クルーズだが、日本人的というか時代劇派として見れば主役級が3人だった。トムと渡辺謙真田広之である。殺陣や立ち回りのシーンなどは、かつて真田も所属していたJACを思い出した。JACといえば千葉真一、「影の軍団である(笑)。一昔あるいは二昔前だったら千葉真一の独壇場である。そういえば千葉もハリウッド進出を目指してロスに行っていたはずだったが、あまりうまくいかなかったのか。


 千葉と、日本的なアメリカ人ということでスティーヴン・セガールあたりも加えれば、むちゃくちゃな映画になりそうである(笑)。などと言うのも、もっと昔、35年ほど前に「レッド・サン」という映画があり、三船敏郎演じるサムライがアメリカの西部にそのまま乗り込むという、荒唐無稽のストーリーがあった。ちょうどラストサムライの逆バージョンみたいな感じだろう。そのときの主演は、三船とアラン・ドロンチャールズ・ブロンソンという日・米・仏のスターの競演であり、三船は日本の時代劇映画と全く変わらぬ存在感を示したものであったそうだ。


 さてラストサムライに話を戻すと、日本の時代劇とやや異なり、時代考証的にはよくわからないが、アメリカ人好みに作られているように思えるシーンも随所に見られた。忍者軍団に襲撃されるアクションシーンもそう思える。正座やお辞儀はともかく、天皇と対面するときや渡辺謙が討死したときに土下座するシーンなども、やや奇妙に見えるからだろう。終戦のときに民衆が皇居に向かって土下座しているシーンなどを意識しているのかもしれない。


 あと小雪はトムのお相手の東洋的美女としてウケそうである。日本映画なら自害させていそうだが、ボンドガールみたいな存在なのだろう(笑)。アカデミー賞にノミネートされるには、実はこうした女優の存在がキーになっていそうだ。


 もう1つ、時代劇を見ている人にはすぐわかるが、殺陣のシーンには必ず出てくる有名な斬られ役の人(福本清三)が、トムの監視役の結構いい役として出演していたことには笑った。日本の時代劇より、ハリウッド映画の方が扱いがいいじゃないか。「日本の斬られ役、ハリウッド進出」と、時代劇マニアの世界では騒がれているかもしれない。


 ラストサムライモデルは西郷隆盛だろう。最後の決戦のシチュエーションはまさに田原坂であり、起伏のある地形での一戦であることも一致する。ところでなんで名前が「勝元」なのだろう。まさか勝新太郎勝新」をもとにしたから「勝元」なんてことはないよな