Movable Type がオープンソース化

 ブログの元祖であるMovable Type(MT)がGPLライセンスのもとにオープンソース化された。これまでも個人使用に関しては自由にダウンロードはできたが、オープンソース化されたことによって、どういうことが期待できるのであろうか。

Six Apart、「Movable Type」をオープンソース化(INTERNET Watch)
Movable Type 4.1 の公開ベータテストと、オープンソース・プロジェクトの開始

 ブログの元祖はコレ、といっても今となっては多くのブログサイトがある中で、実際にMTが使われているサービスは少ないかもしれない。Six Apartが提供しているVoxサービスには自分も登録はしているのだが、残念ながらほとんどブログを書いてはいない。


 Movable Typeは元はサンプランシスコに住む夫妻によって作られたCGIで動くブログ・ツールだが、その後は日本のシックス・アパートの方が中心に開発が進んでいると聞く。夫妻でといえば日本ではワープロ一太郎が連想される。


 何よりも世の中に出たのが2001年で、ブログのブームを引き起こし、その後のCMS(Contents Management System)や今のSaaSやらWeb2.0のブームの萌芽となったといってもよいかもしれない。今でこそ他の多くのツールはPHPなどで書かれているようになったが、MTがCGIPerlで書かれていたのは、当時としてはやや衝撃的だった。というのも、セキュリティが今日のように社会問題化される以前から、CGIの危険性が指摘されていて、サービスを提供する側からはCGIは敬遠されていたからである。プロバイダやレンタルサーバサービスでも、CGIサービスは別立てで有料オプションになっているのが常であった。


 だから一般的にも公開するサービスとしてもCGI?だめだよ、それは」と言われるのがオチであった。けれどもMTはだめになっていたはずのCGIでサービスするシステムで新しいブームを引き起こしたのである。当時はCGIよりはセキュリティや効率面でJavaの方が良いという流れもあったのだが、MTは廃れかかったCGIを復活させたように思えたものである。Ajaxが廃れかかったJavaScriptを復活させたことに似ているかもしれない。


 個人的にはブログそのものの運用よりも、WebサーバーのApacheCGIを利用可能にする設定でMTを組み込むことと、MySQLなどのデータベースとの連携で苦労したことで、CGIやデータベースの微妙な設定の勉強になったという思いがある。フリー版が公開された当時からほとんどのバージョンのMTをダウンロードしてきた。CGIの設定では、MTの組み込み先がドキュメントルートに入れる場合と、ユーザごとに入れる場合では微妙に違う。すべてのフォルダをCGIが動作可能にするわけにはいかないから /cgi-bin/ のようにローカルなフォルダの中だけユーザが書き込み可能なMTが動作できるようにする必要があったのである。


 さて完全なオープンソースになったことで、これまではフリー版を自サーバーに組み込んでも、現実的には複数ユーザ向けの公開はできなかったのだが、これで堂々とサービスを公開できるようになるのだろう。別にプロバイダ的事業をやるわけではないが、関係者間に対する自前のブログサービスを提供することなどはできそうである。現状ではPHPなどがベースのものを動かしていることの方が多いのだが、元祖CGIサービスのサンプルとして思い入れはまだ強く残っている。