1日20回超の携帯メール

 まさに「超○○しちゃった」という言葉が聞こえてきそうな携帯電話の利用動向調査である。中高生の携帯メールの利用時間に、その携帯オタクぶりが現れている。

女子高生の携帯メール「1日20回超」4割 (msn 産経ニュース)

 携帯電話が出現してから、利用者の低年齢化が進み、現在はその中心は中高生になっていると言ってもよいのだろう。特に女子高生の方が好んで使う傾向が強い。それにしても1日20回以上発信、携帯の利用時間は平均で2時間以上にも及ぶという。ほとんど四六時中携帯を気にしているのだろう。ネット時代といえばそうなのだろうが、もはやPCの世界のネットとは独自のネットを形成しているような感もある。


 若い女の子の方がメールにハマリやすいことは、実は自分は十数年前から予測できていた。その当時たまたま若い女性10人ほどにPCを教える機会があり、ワープロなどばかりでなく、その当時出てきたメールというものを実験的に体験させてみようとしたのである。その頃のメールとはOutlook以前のMicrosoftメールというものであった。その場にいるたった10人の間のメールごっこであるから、たいしてウケないかもしれないなと思いながら、自身ヘのメールや隣の人とのメール交換から始めた。そうしたら意外なことに、ワープロなどでは義務的にやっていた様子だったものが、急に部屋の中がシーンとし出して、ひたすらメール送受信作業に没頭している。講師役の自分のことなど目にも入らないといった状態になった。普通に考えれば、すぐそばにいて話しかければ済むような距離なのに、メールの中での「内緒の話」のようになると、俄然熱中するようになるらしい。


 「メールが面白い」というより仲間同士の「内緒のおしゃべり」が若い女性にとっては面白いようなのである。昔からある女性同士の「井戸端会議」とか会社の厨房での女子社員の会話なども根は同じものだと思う。これは女性の特性であるのかもしれない。そこはちょっと男は入り込めない世界である。男子高生の方が携帯を使う時間が少ないのは自然だろう。そもそも何回も文章を打つ込むのが面倒くさくなるし、男子が携帯を使うのはなんとか女子に付いていって、携帯メールのアドレスをゲットすることに腐心しているからのような気もする。男同士なら待ち合わせの連絡くらいで十分である。


 それにしても、携帯メールに費やす時間が増えたとはいえ、新聞を読まなくなった「活字離れ」に結びつけるのはちょっと新聞社の被害妄想ではないか。新聞だけでなく、おそらくテレビを見る時間も減っているだろう。つまり世の中の出来事などより、身近な友人とのメールの方が目の前のリアルタイムの関心事になっているということだろう。昔はテレビばかり見ていて、本を読まなくなったことが活字離れと言われたが、今はむしろメールによって独特の活字文章を使うようになったとも言える。それをブログだとか、まじめなワープロ文書を書くことの方に、次第に振り向けるようにするしかないのかもしれない。そのうち文章を書くためにはインプットとして、文章を読むことも必要になることが自覚されるかもしれない。そうは言うものの、自分もいい年になってもインプットの方には全然自信はないのだが。