Fighting Xmas 猪木乱入!

 やっぱり猪木だ。こうでなくては面白くない。IGF第3弾のメインイベントの小川−安田戦に猪木が乱入し、会場のファンもあっけにとられたようだ。ただダーをやったり気合のビンタをやるだけではない、昔の猪木の片鱗を見る思いである。

IGFプロレスリング「GENOME2〜猪木 Fighting Xmas〜」(写真)(SportsNavi)
IGFプロレスリング「GENOME2〜猪木 Fighting Xmas〜」(記事)
猪木が乱入!小川を失神制裁/IGF(日刊スポーツ)

メインは外国人中心になると思いきや、今回はいわく付きの自殺未遂から蘇った安田と、ハッスルを事実上リストラされた小川の対決である。安田がどれだけ死ぬ気で復活を遂げてくるのか、小川もハッスルのおちゃらけ路線からどれだけ殺伐とした雰囲気を取り戻すのかというところだっだが、猪木にはそのどちらも中途半端のように映ったようだ。そうなると、もう黙ってはいられない性格である。それに当然、いまだに衰えぬ目立ちたがり屋である。


 昔から猪木の乱入のパフォーマンスなどは絶妙のタイミングである。それまでは盛り上がっていなかった会場が猪木の乱入で一瞬のうちに興奮のるつぼと化すなんてこともあった。どこまで計算ずくなのか、天性のひらめきというのか、下手に長いだけのダラダラした試合などより、猪木が登場しただけで一気に盛り上がるなどということもしばしばであった。会場の観客やテレビの前のファンを手のひらに乗せる。それこそカリスマ性ということだったのだろう。「プロレスをやらせたら誰も猪木さんにはかなわないよ」と、かつて前田日明がなかば呆れ気味に言っていたこともあった。そして御歳64歳になっても、なお衰えない気概である。「元気があれば何でもできる」を実践しているようだ。


 それにしても自殺未遂をした安田が、猪木と小川の乱闘を止めるように割って入る姿は、なんとなく滑稽である。猪木から見れば、まだまだ安田も小川も気持ちが甘いようだ。それが猪木には我慢ならなかったのだろう。小川も「こうなったら師匠も敵だ」などと言っているが、もっと10年も前の猪木引退試合の相手を決める頃に、そのくらいの気概がほしかった。それでもハッスルでインリン様を相手にしているよりは小川にとってはマシだろう。


 どちらにせよ、猪木のどこまでが計算ずくで、どこからがハプニングだったのかがわからないような危なさが猪木の魅力でもあった。IGFも3ヶ月に1度開催くらいのペースでなんとか継続しているが、そろそろ方向性が決まってきてもいい頃だろう。