Microsoftのオープンソースとは?
Microsoftが自社のオープンソース戦略をアピールするサイトを開設している。およそMicrosoftとオープンソースなどは水と油の関係のように思えるのだが、わざわざこんなサイトを作って、オープンソースさえも、都合よく自社の宣伝に使ってしまおうということなのだろうか。
MSがオープンソース戦略サイト、「一時的な流行ではない」(@IT) マイクロソフトのオープンソース(Microsoft Opensource)
正直、このサイトの説明を読んでいると、オープンソースとは何だったのかが、さっぱりわからくなってしまう感じがする。いや、オープンソースの導入あるいは乗換えを考えている経営者などを混乱させ不安がらせることこそが、真の目的なのかもしれない。そんな不安なものよりも、これまで通り、有償のWindowsの新バージョンで固めておけば安心ですよと。今ならVistaもこれからはWindows Server 2008も出るので、これらを揃えておけばMicrosoftのオープンソースのサービスとサポートも受けられますよなどと、のたまっているように聞こえるのである。オープンソースとは、何か買い物をしたときのクーポン券か何かみたいな説明である。つまりMicrosoftのビジネスパートナーに与えられる特典みたいなものであると・・・。
それは、もはやオープンソースというものではないだろう。用語の意味を意図的に捻じ曲げて使うのは読む人を混乱させる以外の何者でもない。ソフトウェアやプロトコルの仕様を意図的に捻じ曲げて、他社の製品と非互換の製品を出すことに似ている。
またMicrosoftはWindows Serverとの比較で、反Linuxサーバーのサイトも開いている。これなどは、もはやジョークではないのかと思えるほどだ。
Windows Server Compare」(日本語版サイト)
いちいち反論する気さえ起こらないようなLinux/UNIX批判を展開している。いまだにTCOなんたらの議論もあるが、たとえば、UNIXはもはや「古いテクノロジ、時代遅れなビジョン」だと言い、「UNIX のコンピューティングパラダイムは、ここ 20 年から 30 年の間あまり変わっていません」と批判する。この進歩の激しいコンピュータの世界の中で、30年もベースが変わってこなかったのは、いかに優れた設計だったかということの証拠であろう。数年のうちにユーザや開発者を置き去りにして、節操もなく仕様をガラリと変更しまうようなどこかのメーカーのものとは雲泥の差がある。
クライアントのWindows Vistaの導入はなかなか進まないが、さらにWindows Server 2008も入れろという。常識的に考えてインターネットサーバーになることはないだろうし、内部サーバーとしてアップグレードしてくださいというところだろうが、これとてオープンソースのSambaがちゃんと使えるならそちらの方がはるかにコストがかからない。不安なのはMicrosoftの妨害だけである。そこでこんな顛末になった。EUの命令で、結局Samba側にちゃんと情報開示しなさいということになった。
Microsoft、EU命令に従いWindows互換性情報をSambaチームに開示(COMPUTERWORLD.jp)
そう見ると、今回開設したサイトは、Microsoftがオープンソース陣営に対するグチか悪態をつきたいためだけのサイトなのかとも思えてくる。