野茂メジャー復帰に向けマイナー契約

 野茂がやっとメジャー復帰に向けて、ロイヤルズとのマイナー契約が決定した。自身のブログの中で公表しただけだったようだが、それも野茂らしい。昨春の「現役続行」のCM出演での意志を有言実行しているようだ。

野茂、ヒルマン監督ロ軍とマイナー契約(日刊スポーツ)

 一昨年の右ひじ手術からのリハビリを経ての復活は、想像以上の困難をきわめていたらしい。野茂からすれば、どこかの球団でメジャーに昇格すること以上に、怪我を治し、実力で勝負できる状態にまで持っていくことの方がはるかに難しいことだったのではないだろうか。それだけに「投げられるようになったことが奇跡」とまで周囲は見ているのだろう。裏を返せば、投げられるようにさえなれば、競争を勝ち抜いてメジャーに昇格できる絶対の自信はあるということだろう。初めからメジャー契約ではなく、マイナー契約から這い上がるやり方はメジャー1年目から野茂が何度も通ってきた道だからである。


 現在、メジャーは有名選手の薬物疑惑リストが公表されるなど、暗い話題ばかりである。その中で、かつてメジャーが空前の選手ストライキの影響で人気の危機にさらされたとき、野茂がトルネード旋風を巻き起こして、メジャー人気を盛り返したことが思い出される。再びメジャーで野茂カムバックの話題が踊ることを期待したい。


 日本人的には、日本人選手をよく知るヒルマン監督が就任したことは大きいだろうと思える。先発投手の一角としての期待も当然だが、4年連続最下位チームの立て直しをはかるとき、メジャー10年で120勝以上挙げている野茂の存在が、若手選手へ与える影響を期待されているのだろう。これはパイレーツと再契約する桑田にも通じることである。


 今年は昨年以上に日本人メジャー選手が増えて、誰がどれだけ活躍するのか予想もできない状態だが、誰の動向が最も気になるかといえば、やはり野茂と桑田である。いくらメジャー選手が増えても、先駆者・野茂の輝きが薄れることは全くない。桑田はメジャーというより、日本野球の代表みたいなものである。この2人に共通することは、本当に野球が好きなんだなということである。しかし、いずれは引退後も全く別の道を歩むことになるとも思える。単にピッチングだけでなく、それぞれの生き様を見せてくれるところが大きな魅力でもある。