マスメディアとインターネットの対立

 かつて「放送と通信の融合」とのたまっていた人がいたけれど、結局単にIT企業と称する自社が放送局を買収したいだけの話だった。けれども本当は従来の単方向のメディアであるテレビや新聞と、双方向メディアであるインターネットがどう組み合わさって、新しいビジネスモデルが生み出されるのかということが、最大の問題となるようである。日本はまたしても世界に遅れをとることになるのだろうか。

マスメディアとインターネットの対立関係は、どこへ向かうのか(ITmedia)

 そもそも何年か前までは、マスメディア側はインターネットを自分たちのメディアよりもレベルが低いものであるとタカをくくっていたようなフシがある。まともな管理がされず、文章であれ動画であれ、匿名のユーザの投稿に頼っているものが、プロの人間が取材し解説したり、番組制作をしたものに勝てるわけはあるまいというわけである。


 しかし、かつてのコンピュータと同様で、中央のメインフレームにすべてが集中するものよりも、PCのように多数が分散して機能する方が、いつしか能力の高いものへと変わっていった。そしてコンピュータといえば、後者が主流へと取って代わった。
 マスメディアなどというものも、メインフレームのようなもので規模は大きいが小回りがきかずに、ユーザ(読者や視聴者)からのフィードバックもまともには受け付けられない。いずれPCのネットワークであるインターネットが、メディアの主流にもなっていくのは自然である気がする。
 それをいち早く察知したのが、「メディア王」と言われたマードック氏だったというのは象徴的なことであると思える。インターネットの中で「有料コンテンツ」というものは、自らマーケットを狭めているだけだということに気がつき、大胆な戦略をとっているようだ。


 それに比べて、日本では既得権益団体が「インターネットは自分たちの縄張りを荒らすので、けしからん」くらいの感覚しかなく、匿名の投稿についてもサービスの主催者が著作権料の金を払え、一般ユーザがダウンロードしたら当局は取り締まれ、などという低い次元のことをやっている。


 現実はもはやそんな段階にはないようなのだが、ある意味危機感がないのだろう。日本だけがこの分野のビジネスモデルの確立が立ち遅れていくと、一部の企業ばかりではなく、日本全体の不利益が拡大していくことになるように思える。近視眼的な利益しか考えられない人たちには早く退場願いたいものだ。