Netscape Webブラウザが消滅
新しいネットサービスが出現すれば、消え去るものもある。Webブラウザの先駆けとして一世を風靡したNetscape Navigatorの公式のサービスを終了するとのことである。つい昨秋にはNetscape9がリリースされたことに驚いたものだったが、やはりもはや大勢は決していたようだ。わずかに残っていた開発者がFirefoxのスキンを変えた程度のものをNetscape9としていたのに過ぎなかったようである。
AOL,「Netscape」ブランドのWebブラウザのサポートを2月1日に終了(INTERNET Watch)
最近ではNetscapeの名前も知らない人も増えたが、インターネットの歴史を語る上では、Netscapeの興亡には感慨深いものがある。Webが発明されたのはCERNだが、使いやすいブラウザがなければ、現在のようにこれほどWebが普及することになっていたかどうかはわからない。Mosaicに始まるNetscapeの登場がインターネット時代の幕開けだったといってもよい。1993年か1994年頃の発刊したばかりの「INTERNET Magagine」(Impress)にNetscapeという言葉が登場したときは、何か非常にワクワクしたような記憶がある。
今では信じられないことだが、Netscapeは有償ソフトウェアだった。そこにMicrosoftがWindowsにNetscapeのマネをしたInternet Explorerを無償バンドルしたことから、次第にブラウザのシェアは逆転していく。起死回生をはかって、Netscapeはオープンソース化する。これから誕生したのがMozilla Projectであり、現在のFirefoxへと繋がっていく。まさにNetscapeは死してFirefoxに遺伝子を残したと言えるだろう。しかしInternet ExplorerによるNetscape潰しもあったが、やはり消滅した最大の原因はAOLのやる気のなさだったのだろう。オープンソースは特定の企業が抱えても、結局うまくいかないという典型のようである。
あるソフトウェアが消え去るのは珍しいことではないが、やはりインターネット黎明期を支えたソフトウェアとしては記憶に残るものであることは間違いがない。特に意味はないのだが、さっそく記念にNetscape 9をダウンロードしてしまった。