HTML5の意味は何か

 だいたい「真の意味」とか「本当の意味」と称する話は、あまり当てにならないものだが、つい先日ドラフトが発表されたHTML 5についての意味を考えている記事がある。

なぜ今また出てきたのか HTML5が持つ本当の意味 (@IT)

 記者の私見もあるので、やはり当事者の話でないとよくわからない。本当にHTML 5は必要だという必然性はあったのだろうか。HTMLの創始者であるティム・バーナーズ・リーを引き合いに出しているが、これだけ普及してしまったHTMLが、いまさら創始者の意向で新しいことが決まるとも思えない。またバーナーズ・リー=W3Cというわけでもないだろう。


 作業部会にはGoogleAppleMicrosoftなどが参加しているそうだから、まさにネットの世界での呉越同舟みたいなものであり、それぞれの思惑があってのことと思われる。つまり、もはやネットの世界に影響力のあるメーカーの意向が強くなっているということだろう。一般ユーザにXHTMLが受け入れられる、られないこととは、ちょっと違うのではないか。MicrosoftAppleはブラウザも抱えているし、MicrosoftはなんとかOOXMLの標準化も目論んでいる。GoogleAjaxに関係して、いち早くXHTMLを採用した方ではなかったか。どのメーカーも、少しでも自社にとって都合の良い標準となるようにとの綱引きの思惑が窺い知れる。


 それにしてもHTML 5が正式になれば、これはHTMLが2つに分裂することを意味するだろう。自動化されるWebサービスが扱うのはXHTMLファイルであり、これにはCGM(ブログ、SNSWikiなど)が含まれる。そしてデザイナーによって制作される通常のWebサイトは、HTML4からアップグレードされる形でHTML 5へ移行、というように棲み分けになるかもしれない。しかし一般ユーザは、どちらを勉強していいものか混乱しそうだ。どちらも基本は同じとはいうものの、初学者には細かな違いの存在は、案外大きなものだからである。