SNSは一段落してきたか

 昨年一年で、SNSという言葉が定着したような気がするのだが、国内ではmixiという名が先に広まり、それがSNSの一種であるという順序で認識されてきたように思う。だからSNSって何?」という質問には「mixiのようなもの」という答え方が手っ取り早いというわけである。さて、一昨年、昨年とどれだけSNSが普及してきたといえるのだろうか。

SNSの年間訪問者数は2,129万人、CGMサイト全体では3,665万人(INTERNET Watch)

 当然ながら訪問者数は増加の一途であるが、一人当たりのアクセス数は減少傾向にある。国内の実績ではmixiが8割か9割くらいが寄与しているだろうから、これはmixiの傾向を反映しているといってもよいだろう。mixiは招待制を続けているから、やってみたいという人は招待状を送ってくれる人を探さなければならないというハードルがある。初期の頃はこれが価値を生み、mixiに参加すること自体にやや特権意識を持たせたことが、内容以上に話題性があることどと思えた。


 ところがある程度招待状が行き渡ると、新規に参加するのもそれほど難しいことではなくなり、あまり特権でもなくなり、一見さんのユーザも増えた。一部のコアなユーザはともかくとして、みんなが話題にするからちょっと参加してみただけのユーザは、そのうちあまりアクセスしなくなる。コアなユーザでも飽きたり、mixiの問題などに気が付きだして離れていく人も出てきただろう。離れるといっても、無料であるから一度登録した人がわざわざ退会手続きまではしないだろうから、見かけ上の利用者は増える一方である。その結果、統計的には一人当たりのページ閲覧数は減ったようにみえてくる。ちょうど現在はその折り返し地点に来ているように見える。


 かといって、SNSそのものが限界に来たということではないだろう。米国の動向を見ていると、携帯やGoogleYahoo!を含めて、ますますSNSを推進して行きそうである。「ソーシャル」の意味に対する日本と米国の国民性の違いも関係しているような気がする。日本でいうソーシャルとは「村社会」であり、村的なウェットさを好む人と好まない人に分かれるだろう。米国では多民族国家のこともあり、想像だが「オープンな社会」の観念が強いのかもしれない。同じSNSといっても、やはり日本では異なった発展をするかもしれない。


 というわけでユーザ数的には、そろそろ折り返し地点にきているかもしれず、今後は新しい形の展開が望まれているかもしれない。GoogleYahoo!が示唆しているようなメールそのもののSNS化もその1つの方向かもしれない。どういうものになるのかはよくわからないが、メールアドレスそのものを単にオープンにするのではなく、名刺を差し出した人にだけ通用するものとする。その中の人たちだけでコミュニケーションができるという囲い込みである。現状のスパムメールのひどさを見ていると、スパム対策の意味でも効果のあることであると思える。つまり1つのメールアドレスを持つということは、1つのコミュニティに参加することと同等ということになる。その最小構成メンバーは2名ということである。


 また上記の統計ではCGM全体との比較も行っているが、ブログや動画、あるいはWikiなどとは重なる部分はあるかもしれないが、またコンセプトが異なるものであり、単純な比較はあまり意味のないものと思えるが、どうであろうか。