メディア王マードック氏がホワイトナイトに名乗り

 Microsoftの買収提案に対して、Yahoo!拒否の姿勢か、買収額のつり上げか、またはMicrosoftよりも好条件の買収先の出現を期待したかは現段階では定かではないがついにこの間に第三者が出現した。あのメディア王マードック氏である。

[WSJ] News Corp.、Yahoo!との統合に向け交渉(ITmedia)
MSの米ヤフー買収問題にマードック氏乗り出す(Yahoo!ニュース)

 マードック氏といえば、最近ではこの記事の元である電子版ウォールストリートジャーナルを買収し、無料化する方針にしたことが話題になった。

 そして今度はMicrosoftYahoo!買収の阻止に動いたようだ。Yahoo!を買収するのでなく、世界最大のSNSであるMySpaceなどのネットサービスの株式とYahoo!の株式を交換して、Microsoftが手を出せないようにする、いわゆるホワイトナイトに名乗り出た形である。


 マードック氏といえば、マスメディアとインターネットの対立の間に、世界の中でも最も深く関わってきた人物と言えるのではないか。古くはソフトバンク孫社長と組み、テレビ朝日の買収に動いた経緯もある。見方によってはインターネットに対する嗅覚が鋭い人物に見える。ここでMicrosoftYahoo!を買収させるべきでないというなんらかの判断が働いているのだろうが、ウォールストリートジャーナルを無料化することに見られる今後のインターネット広告戦略があると思える。


 MySpaceの現時点での評価価値はYahoo!と見解が異なるようだが、伸びしろという点ではもはや検索サービスそのものよりは大きいだろう。GoogleにしろYahoo!にしろ、SNSでは成功していないYahoo!が今後、広告市場で伸びるとすれば検索の中よりも、SNSの中の方が可能性があるというマードック氏の読みなのではないか。あるいはウォールストリートジャーナルをYahoo!と連動させることによって、読者が増加し、広告市場も広がるという可能性もある。単にMicrosoftの野望を阻止するというだけではなくて、これはこれで面白い提案であるように思える。


 ただこれでますます、Yahoo!の先行きは混沌としてきた。ネットの野次馬的には面白い展開であり、自分的にはきわめてWWEのようなプロレス的展開になってきたように見える。リングサイドから突然乱入してきて、誰が味方が敵かわからないような状態である。大統領選と合わせて、当面の展開から目が離せない。