IE 8 と Firefox 3

 Firefox 3のベータ版が進み、ブラウザのメジャーバージョンアップが間近に迫っているようである。それに対抗してといえるのかどうか、IE 8も出てくることになるだろう。徐々にだが非営利団体であるはずのMozillaFirefoxがブラウザの標準になりつつあると思われるが、新バージョンではどういう状況が生まれてくることになるのだろうか。

モジラのバイスプレジデント,「IE 8」「Firefox 3」を語る(ZDNet Japan)

 IE 7からの傾向として、MicrosoftFirefoxなどのブラウザに機能的に近づけてきている。やっとブラウザの標準規格に準拠してきたからだといえるが、圧倒的シェアを誇ってきたはずのIEがこれまで標準規格ではなかったというのもおかしな話で、シェアに胡坐をかいたか独自仕様に傾きすぎたか、IE 6のままで長い間放置し続けた結果なのかもしれない。


 特にWeb開発者にとっては、IEで正しく機能させるために膨大なエネルギーを費やしてきたとのことである。ハードウェアやOSならともかく、ブラウザの種類が異なるために開発に手間がかかるようでは、何のためのWebかわからないことになりかねない。自分の経験でも単純なCSSでもIE 6は表示が想定した通りにはにはならずに困ったことがある。標準には沿っていても、現実にIEで正しく表示できなければ、実用のWebとしては使えないことになるからである。逆に「このページはIE ○以上でしか表示できません」というのも困る。Windows環境以外の人は見られませんと宣言していることになるからである。


 IE 7では少なくともIE 6の頃にはなかったAjax/JavaScriptには対応するようになったようだし、IE 8では、よりFirefoxなどの他のブラウザと共通の標準規格を採用するようになるのだろう。ただそれを手柄話のように宣伝されるのはおかしな話であり、バグの修正をサービスと呼ぶことと同様である。


 現時点でのシェアの割合からすれば、まだまだIEが大勢のわけだが、ブラウザの方向性を決める主導権は、すでにFirefoxに移っているのではないかと思う。これまでビジネス戦略や企業買収などで独占的地位を作り上げてソフトウェアの設計も決めてきたMicrosoftと異なり、小さい組織ながら、このインターネット時代に、ユーザサイドの立場も短期間で反映させながら開発を進めるMozillaがイニシャティブを握っているといってもよいだろう。ある意味、現在程度のシェアが動きやすい割合ともいえるかもしれない。初級者はあまりわからずにIEを使い始めるが、次第にPCやネットのことがわかってくると、Firefoxへと移行していくという割合に近いかもしれない。いずれにしてもFirefox 3の機能には期待している。