ミニノートPCがノートPC市場の2割に

 世界のノートPC市場でミニノートPC(ネットブック)が、2009年に入ってから台数ベースでノートPC全体の20%を占めたという。単に価格が安いからという理由だけでなく、短期間のうちにこれだけのシェアを得たのは、やはりネット時代の流れと見るべきなのだろう。

ミニノートPC,ノートPC市場の2割占める シェア1位はAcer(ITmedia)
【台湾】Netbook、AcerとASUSTeK の合計シェア、70%を上回る(japan.internet.com 2.9)

 かつてサーバーサイドJavaが普及し出した頃に提唱された500ドルPC構想が、形を変えて実現したようなものがネットブックだと思える。Web2.0からクラウドへと、ますますサーバーへの依存度が強まり、一方のクライアントはセキュリティ面からシンクライアント化が進む。ネットにさえ繋がればWebサービスを利用することで大概のことはできてしまう。重たいアプリケーションをディスクの肥やしのように入れておく必要はなくなった。スマートフォンとともに、いつでもどこでもネットで仕事もできてしまう時代になりつつあることを示しているのだろう。


 それでも「いやネットブックは使い物にならない」とか「やはりローカルアプリが必要だ」と主張する人はいる。それは既存のやり方をそのままネットブックでリプレースしようとだけ考えているからだろう。クラウドやWebアプリに移行しようとするとき「やはり自前のサーバーが必要だ」という意見に似ている。本当に既存のやり方でしかできないところは、そのままを維持すればよい。しかし多くの仕事は、アイデア次第で新しいやり方に移行できるはずである。ましてやそれによりコストも低減できるならば、積極的に移行を検討するべきであろう。そうしたことをネットブックの普及は問いかけているようにも思える。


 さてメーカー別では、ネットブック先駆けのEeePCASUSTeKを上回る同じ台湾のAcerで1,2位を占める。それに大手のHPやDellも参入してシェアを追い上げているという形である。しかしすでに既存のノートPC市場を持つHPやDellによっては、ネットブック市場が伸びれば伸びるほど、自らの首も絞めかねないところである。コスト面にだけ引かれて、ネットブックに既存ノートPCと全く同じことを期待するユーザを増やしてしまうことである。「ネットブックはOfficeのパフォーマンスが悪すぎて使い物にならない」とか「画面が小さくて使いにくい」ようなことも実際に聞いた。まさに期待していることが違うからであろう。自分自身としては、それほど使いにくければコマンドラインだけでもよいとすら思える。いやWindowsを使える必要すらないLinuxでも十分なのである。もともとそうしたユーザ層を狙ったものだったと思える。


 ところがネット時代の進行に経済状況も影響してネットブック市場が大きく伸びた。背に腹を変えられなくなった面もあるだろう。だからこそ、新しいやり方へと本気で考える必要も出てきているのだろう。