新型インフルエンザの国内感染が発覚

 とうとう新型インフルエンザの国内感染が発覚した。神戸で高校生ばかりの感染が明らかになっている。何もないところから自然発生するはずもないから、予想されたようにGW明けの海外旅行の帰国者からの「お土産」が入り込んだと見るべきだろう。水際対策だけで防げるものではなかったようである。今後の対策はどう展開していくのだろうか。

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 GWが明けてから約10日過ぎたが、運悪く発症した高校生らが海外渡航歴がないというのは関係なさそうである。一時疑われた海外研修旅行帰りの生徒というわけではない。海外からいわゆる健康保菌者として新型インフルエンザウイルスを持ち込んだとしか思えない。とすると高校生はGWに海外旅行した人と接触して感染したとみてよさそうである。家族でそのような人がいないか「犯人探し」のような感染ルート探しが、すでに始まっているだろう。しかしすでに10日経っていることから、仮に感染元の旅行者が見つかったとしても、すでに多くの人と接触しているだろうから、あまり意味のないことになるだろう。その後の対策が問題である。


 連日の報道をみているとインフルエンザの話というだけでなく、すでに社会問題にもなりつつあると感じる。感染者を誹謗中傷するなとか、プライバシーを保護しろとか、イベントを自粛せよ、経済への悪影響への懸念などである。ただでさえ経済環境が悪化している中、泣き面に蜂のような状況である。こういう時こそ、マスコミに影響されたような批判ばかりしていても仕方がない。やれ政府の対応がどうだとか、病院の対応が、学校の対応がとかである。また、日本は過剰反応過ぎるのような批判さえある。どれも批判のための批判としか思えない。


 ウイルス感染のスピードは速い。やたら不安を煽るような報道よりも、正確で早い情報が必要である。自分は関東に住んでいるので、関西の出来事だから関係なさそうとはいえない。狭い日本の中では、人など半日もあれば国内のどこにでも移動できるからである。ウイルスはすでにどこにでも存在していても不思議ではないと考えた方がよさそうである。

 そうであれば対策は、まず自分自身が発症しないようにすることであろう。仮にウイルスをもらってしまっても自分の中で発症しなければ、いずれウイルスは体内で死滅するし、他人への拡散も避けられる。そのためには発症しないような体調管理を行うことだろう。ここ数日再び涼しくなっているので風邪をひきそうな状況であるが、こういうときこそ気を付けた方がよい。自分を守るのは、結局は自分の健康と体力である。そして運悪く風邪気味になって咳やくしゃみが出そうならマスクをするべきである。電車の中でマスクをするのは、自分のためでもあり他人のためでもある。


 さてこれまでのところ、高校生の感染者ばかりが見つかっているが、世界でも死者が出ている国では若者ばかりであるという。むしろ体力の弱い高齢者の方がと考えられがちだが、そうではなさそうなことから、年配者の方が新型ウイルスに対して何らかの免疫があるのではないかという説もある。そうなると海外旅行して感染したのは年配者で健康のままだが、その人から感染して発症したのは若者だけということになる。タミフルが十代の若者の異常行動に影響しているのではないかと疑われた事故があったが、何かウイルスとの因果関係もあるのではないのかと素人考えも持ってしまう。
 また、マスクをするのは日本人だけで外国人からは奇異な目で見られるとか、ウイルスは花粉より小さいので通常のマスクはすり抜けるから意味がないという話もある。しかし100%の効果はなくても、全く装着しないよりはウイルスの密度の問題で、密度が小さければ感染の確率も小さくなる。ウイルスが1個でも体内に入り込めば発症するというものでもない。


 そして感染する可能性としては学校のような場が一番危ないといえる。昔から学校は病原菌の坩堝といわれた。小学生の時は麻疹やおたふく風邪などの洗礼は必ず受けたものだ。同じ人が集まる場所といっても、全員が同じように行動し、毎日教室、クラブ活動と学校の中を移動しながら同級生や友人と濃密に接触するからである。毎年のようにインフルエンザが流行って学級閉鎖になるような学校があるのも、2年前の大学での麻疹の流行などもそうした状況だからである。大人の職場では部署や会議もあるとはいえ、案外、直接接触する人間は少ない。学校と比べて、大人は他人との「距離感」があるからといえるだろうか。


 しかし新型ウイルスは弱毒性のようだから、従来のインフルエンザとたいした変わらない、騒ぎすぎだ、という話も当たらないだろう。自分がまず感染しないことが第一だが、他人に感染させた結果がどうなるかがわからないからである。新型には決定的に処方できる薬がまだないことである。もし幼児だとか、病人で抵抗力が弱っている人ならば、重篤になって薬も効かないという事態もありうる。そしてウイルスが人間の体内で蔓延すると、さらに悪質なウイルスに変異する可能性があるということである。豚インフルエンザと言われ、豚の体内だけでウイルスが変異すると思われがちだが、人間の体内の方がもっと変異する可能性があるという。さらなる新型ウイルスを増やさない、将来への対策でもあるわけである。