MySQL創始者がOpen Database Allianceを設立

 SunがOracleに買収されることが決まり、ワークステーションSolarisJavaなどの今後の成り行きはともかくとして、最もユーザを含めて懸念しているのがMySQLの先行きであろう。

MySQLの生みの親、業界団体Open Database Allianceを設立(CNET Japan)
Group aims to keep MySQL healthy(原文)

 MySQLオープンソースのデータベースとして、瞬く間にLAMPの中核になり、中小のWebサービスにとっては必要不可欠のものになっている。Oracleをはじめとするエンタープライズ系のデータベースベンダーがこぞってExpressと称するフリーのデータベースを提供するようになったのも、MySQLにどんどん中小の市場を奪われていったからである。Oracle自身もMySQLを買収しようとして失敗していた経緯があった。それがSunが昨年MySQLを買収していたことから、OracleはSunの買収によって、間接的にしろ念願のMySQLも手中に収めることになった。本当はMySQLを手に入れたいためにSunを買収したのではないか、という穿った見方まである。


 OracleによるSunの買収は、MySQL関係者にとっては想定外のことだったかもしれない。Sunの買収を受け入れたのは、Sunがオープンソースに対する理解があり、また資金面でもSunの傘下に入ることによって安定すると考えたからかもしれない。しかしOracle主導になってしまえば、もともとデータベースで競合していた関係でもあるから、MySQLの命運はOracleの胸先三寸に委ねられることになってしまった。これまで自由にMySQLを利用してきたユーザにとっても、このままMySQLを使い続けられるか不安になっているところである。Oracleには少なくともこれまでオープンソースを支持するイメージは全くないからである。


 そこにMySQLの創始者であるMicheal Widenius氏がオープンソースデータベースの団体を発足させる。その理由は、MySQLの人材が流出していくことを懸念しているからのようである。MyDQLは商標を含め、現在はSunにあるから、これはひょっとすると、今後MySQL互換のオープンソースデータベースが出現することになるかもしれない。もしそうなると、あたかもかつてのUNIXのようになるかもしれない。UNIXという正当なソフトウェアの権利と商標は特定の企業に渡ったが、その後UNIXクローンのソフトウェアが発展し、本家のUNIXの方が消え去ることになっていった。MySQLの本家はSunからOracleへと渡ったが、MySQLクローンというべきソフトウェアがオープンソース団体によって発展して、そちらの方が主流になっていくというわけである。むしろ、そういう展開を期待したいものである。