Microsoftの新検索エンジン「Kumo」とは

 Wolframが新検索エンジンのサービスをスタートしたと思ったら、今度はMicrosftが新検索エンジン「Kumo」をスタートさせるという。こちらは一新したWindows Liveの一環であるようだ。Googleが圧倒的なシェアを維持しているネットの検索部門だが、ネットにおいては検索はまだまだ競争の余地のある重要なジャンルだということだろうか。

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 MicrosoftYahoo!の買収に失敗してから、独自にネットサービスの戦略を建て直してきたようである。Windows Liveは以前から名称はあったももの、実質的な内容は大幅に変更されてきているようである。検索エンジン「Kumo」はLive Searchに代わるものと目されている。クラウド(雲=Kumo)への転換を意識した検索エンジンの変更となるのかもしれない。Microsoftはこういう路線変更を、良くも悪くもしばしばユーザや開発者を多少犠牲にしてでも敢行してしまう。


 KumoもGoogleキラーになるかどうかと言われているが、もはや検索エンジンの性能だけで議論できる時代ではなくなっている。確かにGoogleYahoo!などより後発の検索サービスだったにも拘わらず、またたくまにトップの地位を得たのは検索アルゴリズムが優秀だったことである。しかしそれが今や広告ビジネスと結びつき、Gmailはじめ多くのネットサービスと連動したサービスになっているだけに、もはや検索エンジンの性能だけで対抗できるものではなくなっている。Yahoo!の買収に成功していて、MicrosoftYahoo!のネットサービスを統合していたとしても、Googleに対抗しえたかどうかというところだろう。


 無料サービスであれば、ユーザとしてはいずれのサービスでも良い所を使い分けることをするだろう。一方にはあるサービスが他方にはないサービスであれば尚更である。Yahoo!JapanにはオークションやゲームはあるがGoogleにはない。GoogleにはDocsやSitesがあるがYahoo!にはない。Microsoftにはストレージサービスである25GBのSkyDriveがあるが他にはない、などである。


 Kumoによる検索の何がすぐれているのか、公開されて評価が定まるまで何ともいえないが、記事によれば検索結果がジャンルに分類されて表示されるという。従来の検索では、ユーザがなかなか思ったような検索結果が得られずに検索の元に戻ることが多いから、これを改良するようになっているという。従来の検索とは、明らかにGoogle検索を指しているのだろう。しかし従来は、Yahoo!Microsoftもそれ以下の検索性能だったといえる。Google検索のライバルにすらなっていなかっただろう。これから対抗していきますという意思表示だろうが、反響はどうなるか。


 ちなみにWolframの場合は全くの新規参入であり、新規検索エンジンというより、知識検索計算エンジンともいえるもので従来の意味での検索とは異なるだろう。Google検索やWikipediaなどとは別に一定の割合で必要とする人はいるだろうから、従来検索との二者択一というものではなさそうである。検索に限らず、新しいネットサービスの出現はユーザにとって望むところだが、特定のライバルを意識したものより独自色を持ったものであってほしい