Windows 7はメールソフト非搭載

 Windows 7では標準のメールソフトを搭載しなくなるという。Windows Liveからダウンロードはできるとはいえ、いかに使っている人が少ないかということだろうか。

Windows 7はメールソフト非搭載 Liveとの連携でオンライン強化へ(ITmedia)

 一応、Vistaを使ってはいるのだが、そういえば「あれ、Outlook Expressはどうしたの?」と思ってしまった。Outlook Expressといえば、IE6とともに長い間、Microsoftのインターネットメールの標準だったはずである。どうもIE7になってからOutlook Expressはなくなり、その後継はWindows Mailとなっていたようである。使う必要がなくなっていたから、全く気が付かなかった。Vistaを使っているような場で「Outlook Expressで試してみてください」なんて言っていなかったか心配になるくらいだ。


 Outlook ExpressNetscape Navigatorのメールなどと争い、Winsows初心者がネットに使う際には必ずといって使っていたはずである。インターネットの入門書にもメールの代表格のように載っていたはずだ。紛らわしいのはOfficeに付随しているOutlookである。かつては「OutlookExpressはOutlookとは違います。Outlook Expressはインターネット専用のメール、Outlookはスケジュールなども入った社内用メール」などと説明はしていたものの、どちらも使わなくてよいので困ったものである。個人的には当然、組織の中でもOutlook Expressを使っているケースは少なかったと思う。Outlookなどを使っていたら忌み嫌われるくらいであった。Outlook Expressはメールサーバーとの接続テストに用いたくらいである。特にセキュリティ面で問題があったので、Outlook Expressでうまくいけば、まあ他のメールでも大丈夫だろうというわけである。


 そのうちWebメールが主流になり、Thunderbirdでさえ起動する機会がほとんどなくなったGmailばかりで十分になったからである。そしてVista自体から使っている人が少ないとはいえ、Outlook Expressの後継であったはずのWindowsメールが、Windows 7では標準でインストールさえされなくなる。かつてはMacintosh版まであったOutlook Expressが、事実上Windowsからも姿を消すといってもいいだろう。今風にいえば、正規雇用から非正規雇用にリストラされたといってもよいかもしれない。Outlookの方は、一応Officeの継続性で惰性でバージョンアップはしているのかもしれないが、こちらもほとんど使っている人はいないと思われる。


 別にOutlookやExpressに思い入れがあるわけではないが、自分は実はWindows NT Server時代の「Microsoft Mail」と言われていた頃に扱ったことがあるからである。まだOutlookという名前が使われる以前の話である。メールサーバーの制約に苦労させられて、つくづくMicrosoftのネットワーク製品は使うべきでないなと思い知らされたものである。その後はsendmailではなく、Postfixなどに走ったことはいうまでもない。Windows Sever(Exchange Server)+Outlook Expressの組み合わせも必要なくなったのである。


 そして現在ではMicrosoftWindows Liveに力を入れているが、こちらはもうクラウドみたいなものであるから、Windows Serverそのものから導入する必要もない。プロバイダのメールにしろ、Gmailにまかせておけばログインする必要さえない。新しいWindows 7ではWindows標準のメールソフトそのものが必要なくなったのは、当然の成り行きなのだろう。Windows Liveは使ってはいるが、Microsoftはオンライン事業では苦戦中だという。さもありなんで、だからこそYahoo!の買収も仕掛けたのだろう。デスクトップアプリでは勝ち組だったはずのMicrosoftも、いつのまにかオンライン事業では怪しくなっていることを思わせられる「メールクライアントソフトからの撤退」である。