世界サーバ市場は過去最低

 とうとうGMが経営破綻してしまうご時勢なので、何が起きても不思議ではないが、大きな企業からの不況の影響を受けて、世界のサーバー市場も過去最低を記録している。軒並み20%以上の出荷台数、売り上げの減少率だから、もう製品の良し悪しなどの問題は関係なさそうで、いかに企業がサーバーの新規導入やリプレースを控えたかという表れなのだろう。

世界サーバ市場、売上高、出荷ともに過去最低―Gartner調べ(ITmedia)

 最悪の昨年後半から今年にかけては、企業の不況も新型インフルエンザの感染みたいなもので、自動車産業はじめ親亀こけたらみなこけたように、連鎖反応的に経営悪化が広がった。リストラばかりでなく、金融や製造業はじめとするITインフラへの経費も急速に削減させられたことは想像に難くない。


 GM破綻のショックがまたどこまで広がるかはわからないが、景気が底をつき、少し上向きになってくるまでサーバー市場も回復してこないとの見方である。同じ売り上げ減少の中でも、やや目を引くのがSunのUNIXサーバーの大幅減少、IBMブレードサーバーの比較的な減少の小ささである。もともと長期低落傾向にあったSunのUNIXサーバー(ワークステーション)の売り上げは、景気後退により決定的に落ち込んだ。これがSunの身売りを決定づけたといってよいかもしれない。一方、ブレードサーバーはこれまであまり信頼性がなかったPCサーバーの性能が高まり、サーバーが集約しやすいなどの新しいサーバーの様式として広がりを見せている。結局はコンパクトで省スペースにも省電力に済むし物理的な管理もしやすいからだろう。新規だけでなく、それまでの1Uや2Uなどのサーバーからのリプレースの需要もあったと思われる。いずれにしろUNIXサーバーとではコストが違うから、不況でこの差が際立ったといえる。


 さてサーバー市場の回復も2010年以降と見られているが、仮にある程度景気が上向いてきたとしても、以前のようなサーバー導入に戻ってくるだろうか。自動車産業の方でも、仮に景気が回復してきても不景気前と同じような車が売れるかといえばそうではないだろう。やはり新しいタイプの車、エコカー電気自動車ではないが、別の価値観を持った車種が伸びてくることになるだろう。サーバーも同様で、もはや高価なワークステーションではないし、PCサーバーにしろやたらな台数と電力を食うようなものは導入されなくなる。そしてサーバーの統合や仮想化が進むことになる。さらにいえば、これまでは自社サーバーを持つということ自体がステータスのようにされていたことが、クラウドへの移行が進むことになるだろう。物理的にサーバーを維持管理して、そのためだけの人員を抱えることから見直されることになるだろう。実際、ブレードサーバーを数多く並べて維持する必要があるのは、データセンターとかクラウドを提供できる企業ということになっていくだろう。背に腹は代えられないということから、経済不況がクラウドの進展に加速をつけることになる可能性は高い。