Sunのクラウドはどうなる

 Oracleによる買収が決定したことにより、Sunの所有する製品や技術の行く末が懸念されている中、Sunの開発者向けカンファレンス「Community One West」の中で、クラウドの計画が明らかにされている。

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 「Sun Cloud」はOpenSolarisをベースにした仮想環境で、Amazon EC2/S3のようなサービスを提供するとのことである。先行するAmazonに遅れること3年である。各種APIやライブラリ、Javaで書かれた管理コンソールなどが提供されるようだ。絵だけで見る限り、たとえばサーバーの追加、移動のようなことがドラッグ&ドロップだけでできてしまう。仮想化されたサーバーや機器そのものがオブジェクト化されていると見てよいのだろうか。Sunにとってはクラウドといっても、技術的にはすでに20年も前からの、HPCやグリッド・コンピューティングよもう一度、という位置づけらしい。それだけ技術的には自信のあるということだろう。


 OSにOpenSolarisを採用していること、Hadoopによる分散ファイル化MySQLなどの採用からうかがわれるように、Sunのクラウドオープンソースを前面に出していることである。これは少なくともOracleの従来の方向性とは大きく異なるものであり、実は懸念もそこにある。今の時期にSunのクラウドの方向性を示したということは、Oracleの買収が完了して介入される前に、クラウドの方向性を確立しておきたかったのではないかと勘ぐってしまうからである。Oracleクラウドオープンソースの方向性に何かリーダーシップを期待できるものは今のところ何もない。買収後はエンタープライズ部門Oracle主導で、クラウドオープンソースによるサービス部門は旧Sunのグループに運営主体が分かれるのではないかと思える。そうであれば、OpenSolarisMySQLなどのオープンソースクラウドの中で、生き延びることができる。そういう方向性をいち早くSunのメンバーが示しておきたかったのかもしれない。


 とはいえ、クラウドそのものでは今のところAmazonGoogleに後れをとっている。サービスなり価格なりで差別化をはからないと、なかなか浸透は難しいかもしれない。