ブラウザをサーバ化する「Opera Unite」を発表

 ハードウェアで電源プラグ型のサーバというものに注目していたら、今度はソフトウェアでブラウザをサーバ化する「Opera Unite」なるものが登場する。Webのクライアントがブラウザというのが固定観念だっただけに、一瞬何を意味しているのか、よくわからなかった。

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ブラウザでP2P通信できる「Opera Unite」,ファイル共有やチャット利用も(ITmedia Biz.ID)
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 ブラウザから設定できるという点では、プラグインを入れればブラウザがサーバ管理ソフトのような役割をするということだろう。基本的には、ローカルマシンのフォルダを共有化できるという点では、ファイル共有ソフトに近い。


 いったんOperaのサイトに登録されると、ファイアウォールの内側のマシンでも動的にURLが割り当てられて、そのURLを通じて外部からのアクセスが可能になる。ある意味、ファイアウォールを超えてしまうわけである。Webによるファイルサーバといえば、WebDAVのようなものだが、公開サーバでなく、クライアントを容易にWebサーバ化できるところが違う。Webサーバではないが、同じようにクライアントのフォルダを共有化できるものとしては、Orbが近いかもしれない。


 大変便利そうで、自分も自宅でサーバ化しているLinuxマシンや、ひょっとするとWindowsのフォルダでも試してみるかもしれない。ここ何年もOperaを使っていないというか、インストールさえしていないのだが、この手軽なファイル共有が可能になると、少なくともサーバ側にする方(自宅側)にはインストールする機会が増えるかもしれない。将来的には携帯電話もWebサーバ化できるという。携帯カメラで撮影した写真を入れたフォルダに、外部から即座にアクセスしてダウンロードできるようになるかもしれない。


 それにしても、やはり問題はセキュリティであろう。1つはフォルダをうかつに公開してしまうことによる情報流出である。もう1つは、これはP2Pのファイル交換と同様で、URLさえ知られれば容易にファイル交換できてしまうから、URLを変えながら不特定多数のゲストユーザからの違法ダウンロードも可能になるという倫理的問題である。そうなれば、また著作権団体などが利用を制限する動きに出てくることも懸念される。改正著作権法で、罰則はないもののダウンロードが違法化されるご時勢である。


 OperaにとってはEUでの人気はともかく、世界全体ではブラウザのシェアで苦戦していると思われるが、このソフトをきっかけにシェア拡大を目論んでいるかもしれない。もしこの機能が一般化するようだと、ブラウザの機能とは何なのか、よくわからなくなる気がする。