サーバー仮想化ソフトの主流はどうなる

 クラウドのベースになる「サーバー仮想化」ソフトを巡る争いが激しくなってきている。ここにきて、これまで仮想化サーバーの主流と思われていたXenがXenServerの新版を、そしてLinuxの大御所のRedHatKVMを本格化させる。

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シトリックス・システムズ・ジャパン 

 最近のLinuxを組み込む上で、ディストリビューションの違いとともに仮想化サーバーのカーネルが何であるかの選択も問題になってきた。これまでXenが優勢かと思われたが、ここにきてRedhatKVMを標準組み込みへと方針転換したので、にわかに争いが激化したように見える。


 Redhat Linuxの実験台であるFedoraでは、Fedora 8まではXenカーネルだったが、以後はXenを使わなくなっている。これは技術的な問題というより、政治的な意味合いのようでうある。オープンソースとして始まったXenの開発元であるXenSource社がCitrix Systemsに買収された。そしてCitrix Systemsは以前よりMicrosoftとの結びつきが強いという。これではRedhatは方針転換するはずである。もともとCitrix Systemsの起源を調べてみると、IBM OS/2を開発していたグループにより始められた企業だという。そのためにMicrosoftとの結びつきが強かったのだろう。


 Redhatが方針転換したために、問題は周囲のLinuxへの影響である。もともとRedhat Enterprize Linux互換とされるCenOSは現状ではXenだが、早晩やはりKVM標準採用へと移行していくだろう。CentOSXenによる準仮想化で、ゲストOSの制御ができるDomain0として使えることが重宝だった。そしてAmazonなど稼動しているクラウドではRedhatとともにCentOSが採用されているようである。しかし今後はバージョンアップされるうちに、Xenではなくなっていく可能性が高い。


 もう1つの大きなディストリビューションであるUbuntuは10月にリリース予定の9.10では、クラウド対応に大きな変化があることが予告されている。ただ、仮想化に関しては中立らしく、XenKVM、またVMwareと選択が自由になっている公算が高い。


 しかし、せっかくXenを勉強しかけたというか、実際に組み込んでアップグレードしてきたのが、仮想化ソフトはOSよりもさらに基本ソフトの位置づけなので、バージョンが上がって仮想化ソフトが変わってしまうとOSの新規インストールからやり直さなければならなくなりそうなのが面倒なところである。さて、仮想化ソフトの主流はどれに落ち着くのだろうか。