Google Waveの奴隷になるのか?

 5/29に何を採り上げていたか忘れていたので、また同じタイトルの記事を書くところだった。それは「Google Waveとは何か」である。まだ開発者レベルなので、よくわからないのは当然だが、話題にしていたことさえ忘れていた。それだけ最近の「Google XXXX」の種類が多すぎる。ただ、Officeの文書とかWebページ作成のサービスよりは(Google Page Creatorは終了のお知らせが届いている)、Google VoiceやAndriodのように、携帯も含めて明らかにコミュニケーションツールに大攻勢をかけてきているように見える。

わたしたちはGoogle Waveの奴隷になるのか(ITmedia)
Google、リアルタイムコラボレーションツール「Google Wave」を発表(5.29)
Google Wave Preview (Google)

 意識してぶつけたのかどうかは不明だが、5/28の同日にMicrosoftは新検索エンジン「Bing」の発表を行っている。それなりに優れた検索エンジンではあったようだが、Webの技術の斬新さでは「周回遅れ」との辛口の批評を受けても仕方のないところだろう。


 さてGoogle Waveは「未来の電子メール」ということであった。というより、従来のメールのイメージは1度捨てた方がよいだろう。メールが中心というより、リアルタイムコミュニケーションツールをWebで統合したようなシステムであるからである。インターネットによるリアルタイムコミュニケーションは現在何が可能なのかを改めて挙げてみて、それらを統合ツールの中でごった煮のように考えた方がよいかもしれない(あくまで自分のイメージである)。ごった煮というのは、どういう食べ方をしたらよいのか、まだ感覚がわからないからである。そしてコミュニケーションであるから、相手がどういう使い方をしてくるかにもよってくる。


 その意味では、これは不特定多数の人間とのコミュニケーションよりは、むしろ組織の中のよく知れた者同士のコミュニケーションやコラボレーションツールに向いているといえるだろう。以前ならばLotus NotesExchange ServerOutlookが使われていた環境である。しかし常にリアルタイムで可能というところに、時代が変わったと見ることもできるだろう。


 メールはGoogle Waveに、電話はGoogle Voiceに取って代わられれば、我々はどこにいても落ち着かないことになるかもしれない。仕事にしろ生活にしろ、常にリアルタイムでの対応が要求されかねないからである。携帯を持っていれば、いつも呼び出されるのと同様で、ネットに繋がっていればPCだろうが携帯だろうが、ネットに繋がっている限り、あらゆるコミュニケーション手段で呼び出されかねないことになる。少なくとも技術的にはそれが可能になるということを示唆しているかもしれない。またやりとりするコミュニケーションデータは事実上すべてGoogleに管理されていることになる。それを持って我々は「Google Waveの奴隷になる」ということになるのだろう。


 一言で「統合」というが、従来のソフトウェアで「統合型」と名前が付いたもので、あまりイメージの良かったものは少ない。何でも屋は便利そうだが何事にも中途半端で、結局専用ソフトに及ばなかったりしたからである。ただし、現在のWebをプラットフォームにした統合ツールでは、専用ソフトと緩やかに統合、連携させることもできる。


 Google Waveで注目すべきは、TwitterFacebookともスムースに接続できるところかもしれない。特にTwitterはこのところ、社会の多方面で「必要に迫られて」急速に活用が進んできている。Twitterを組み込める「Tweety」はWaveにとっては、Twitterに便乗できて有効であるかもしれない。Facebookなども、不況下の現実で職を探すためのコネクションを作るためにも活用されているようである。これらの現実的なネットツールが、統合ツールの中でより増幅される形で、広いコミュケーションシーンでの役割の一部をなせば、統合コミュニケーションツールはどう使っていいかわからないような絵に描いた餅ではなく、現実的な未来型コミュニケーションツールに発展する可能性はあるだろう。



Google Wave Developer Preview(1時間20分)