夕張市がUbuntuとオープンオフィスを導入

 地方自治体はどこも財政赤字に悩み、総選挙が近い現状で地方から中央政界への物言いが騒がしくなっているようである。そうした中、財政再建団体に転落してしまった夕張市が、Ubuntuオープンオフィスを導入するという。PCそのものは民間企業の償却済みのものの無償提供だという。経費節減の折から苦しい台所事情のように思えるが、これは良い試みであると思う。財政建て直しに躍起な地方自治体からこそ、積極的にLinuxオープンソースソフトウェアを導入すべきだと思うからである。

夕張市がUbuntuとオープンオフィス導入、総選挙の臨時要員増に備える(ITpro)
アナリストが批判、「Windows 7のアップグレード版価格は高すぎる」(COMPUTERWORLD.jp) 

 マシンが7-8年前のスペックでメモリ512MBだから不十分だということはないだろう。CPUを使う作業ならともかく、事務処理中心なら十分であろう。自分のマシンなど、CPU1GHz未満で384MBとか256MBのメモリで現役でLinuxで稼動しているものだってある。「快適な」WindowsばかりがPCだと思っているからスペック不足だと勘違いしているだけである。むしろ書類の書式などをMicrosoft Office文書とのコンバートがうまくやることの方が業務的にははるかに重要である。


 本来、Linuxオープンソースの活用は、税金の無駄遣いを少なくするためにも国や自治体が率先して行うべきことであろう。現状、業務上不便であるならば、それを克服してさらに地方や下部組織に示せばよいだろう。上の機関がWindowsMicrosoft Officeフォーマットでしか書類は受け付けませんなどとやっているから、下にも浸透しないのである。ちょうど1年前からの会津若松市の試みなどを特殊な事例としてはいけないだろう。


 折りしもWindows Vistaが不評のため、多くの組織はVistaやOfficeのバージョンアップを見送ってきた。金融危機の影響もある。今度は従来のXPユーザにもWindows 7を導入させようとしている。その価格も発表になったが、案の定、これが高すぎるとの批判が起こっている。現在のPCの価格からすれば当然のことである。組織としてPCの導入をするとき、赤字の自治体は相変わらずWindowsやOfficeにせっせと「補助金」を支給するのだろうか。財政逼迫の折、夕張市ならずとも、これを期に努力してオープンソースへと切り替えるのが財政「改革」の一環である気がする。「教えてくれる人がいない」とか「覚える時間がない」から使えないなどの理由は、民間企業なら通用しない話だろう。またそういう努力をしていけば、夕張市にPCやサポートを無償提供した企業のように、支援の輪も広がることだろう。それこそオープンソースの精神の反映なのではないだろうか。「天は自ら助くる者を助く」である。