Firefox 3.5が正式リリース
今回は自分はダウンロードには乗り遅れてしまったようだが、Firefox3.5が正式リリースされた。Firefox3.0のときは、ダウンロードのギネス記録の話題作りもあったが、今回は粛々とアップデートが進んでいるようだ。シェアが1/4くらいに達して、事実上はブラウザの標準だといってよいが、もう導入するかしないかではなく、今後どういう方向に進むのかが関心の的になってきそうである。
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まずダウンロード件数は、リアルタイムで表示されるページが提供されている。http://downloadstats.mozilla.com/これによれば、日本は米国、ドイツに次いでの3位となっている。ブラウザ先進国といってもよいのか7/3時点では約56万本ダウンロードだが、それでも2位ドイツには2倍以上の差を付けられている。反Microsoftの傾向が強い欧州と、Microsoftもお好きなような日本との差が、Firefoxのシェアとの違いにも現れているのだろう。
6/12にはSafari4がリリースされており、こちらは最速ブラウザの触れ込みもあったせいか、公開3日で1100万本のダウンロードに達したが、Firefox3.5はこれは抜きそうである。
さてFirefox3.5は比較的大きなバーションのアップである。インターフェースの変化はほとんどない(と思われる)が、JavaScriptのさらなる高速化とタブの切り離しなどの柔軟さが加わったようである。これはChromeの機能の影響もあったかもしれない。タブを開きすぎたときに落ちたりする不安定さが解消されるようになってくれればよいとは思っている。どこぞのソフトのように使い慣れたインターフェースを問答無用でガラリと変わり、インストール後に後悔するようなこともない。
IEのシェアを追って、Firefox、Safari、Chromeがシェアを伸ばしてきている。Firefoxにとっては、シェアで先を行くIEだけでなく、同時にシェアを伸ばしてきたSafari、Chromeも意識せざるをえなくなってきている。マラソンの先頭を追いかけるばかりでなく背後も気にしなければならなくなったようなものだろう。
ただ、このような活気あるブラウザの競争が起きたのも、Firefoxの存在があってこそのことである。タブブラウザやCSSやJavaScriptへの対応、プラグインの組み込みなど、FirefoxがなければGoogleの一連のWebサービスや、さらにいえばWeb2.0のブームも起こりえなかったかもしれない。Webの可能性が広がったことで、SafariやChromeの進出も促したともいえるだろう。IEすらFirefoxの機能に追随せざるをえなくなっている。
FirefoxがIEの追い落としにもたついている間に、しびれをきらしたSafariやChromeが伸びたとも見れるが、これだけIEに傾いてしまった市場を逆転させるのは、そう容易ではないことだろう。唱えるのは易しいが実現はなかなか難しい政権交代のようなものである。むしろSafariやChromeを含めて、互いに開発で競いながら連合して話題面でも盛り上げてIEに迫るのがよいだろう。インターネットのサービスの中核がWebになっていて、まだまだ多様化している状況下では、むしろ1種類のブラウザだけが市場を独占できるという状況の方がよほど異常だろう。今後はIEのシェアと、Firefoxその他のシェアが五分五分くらいになったときが、技術的にも市場的にも最も面白い状況になるかもしれない。MozillaとGoogleの契約が切れる頃にそうなっていれば、その後のFirefoxがどうなるかは、ちょっと予測がつかないことになりそうである。