地方自治体の違法コピーソフト使用

 今時、なぜこのような情けないことをやっていたのだろうか。セキュリティ対策に対する意識が甘くて個人情報や機密情報が流出したというような問題でなく、もう10年か20年も前の問題であったような気がする、有償ソフトウェアの違法コピーの利用である。それが一般企業などではなく、地方自治体の県や市庁舎の中で行われていたそうである。

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 これが1人や2人の意識の低い職員の所業であれば個別に処分でもよいだろうが、何百台のPCにまで組織的に違法コピーが行われていて、しかも「気が付かなかった」とは何をかいわんやである。組織としては、MicrosoftAdobeと示談して和解金を支払うことにしたというが、一般企業と違って、和解金は結局のところ県民税や市民税などの住民の税金が使われるのだろう。今後こういうことのないように職員を教育します、というくらいで県民や市民は納得できるのだろうか。「税金の無駄遣い」が問題視される風潮の中、こんな形の無駄遣いはないだろう。民間では許されないが、お役所は公的な仕事をしているのだから許されると、どこかで勝手に解釈していたのだろうか。


 そして違法コピーの事実が発覚したのも、おそらく内部告発だろう。一部ライセンスの数を誤ってインストールしてしまったとかではなく、確信犯的だったので、あまりにひどいということになったのだろう。

 OfficeやPhotoshopのライセンス料は、昔からちょっと見積もってもIT関連の予算の中では大きな割合を占めるので、限られた予算の中では大きな問題となる。ましてや現在のような赤字財政の中ではなおさらである。それをお役所自らが違法コピーで済ますという発想そのものが、情けなさ過ぎなのである。予算がなかったからというのであれば、よほど会津若松市の爪の垢を煎じて飲め、と言いたくなる。あれはダメだ、これはダメだ、と論評している暇があったなら、限られた予算の中で必死に努力してみる方が、後に残るものを生み出すこともできるだろう。違法コピーはするな、Winnyは使うな、というような低次元の教育をするより、オープンソースをいかに業務で使えるように工夫するかの方が、よほど将来に繋がることだろう。