Yahoo!とMicrosoftの提携話が再燃

 またぞろ、MicrosoftYahoo!の提携話が再燃してきている。最初の買収話からもう1年半以上はたっただろうか。金融危機が訪れる前の話だった。買収はYahoo!側の抵抗にあって成立はしなかったが、検索部門だけの提携話は、その後もまだ消えてはいなかったようだ。そして今の時期になって再燃してきたのは、最近のMicrosoftの「Bing」の評判によるところが大きいからだと推察される。

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 Bingがスタートして1ヶ月余りが過ぎ、Googleの検索シェアを脅かすかと思われたが、現状では検索シェア2位のYahoo!のシェアを食う形になっている。Yahoo!から乗り換え始めているユーザはいるが、GoogleユーザをBingに乗り換えさせるほどには至っていないというところだろう。このまま推移していけば、BingがYahoo!を抜き、2位に躍り出る可能性はある。それならば、早めに2位、3位の連合を作ってしまって、1位のGoogleの牙城に迫った方がよいと、再び考え出しても不思議ではない。


 提携が成立すれば、Yahooは自社検索事業をMicrosoftにアウトソースし、MicrosoftがYahooに自社広告事業の一部をまかせる、という形になる可能性があるという。実質、Yahoo!検索エンジンから撤退することになり、2位と3位を合わせた検索シェアはBingということになるだろう。昔はYahoo!Googleを使って、Powered by Googleと表示されている時代もあったが、それが今度はPowered by Bingと表示されるようになるかもしれない。もともとYahoo!はジャンンル分けでサイトを分類するディレクトリ型検索で成り立っていたサイトだっただけに、Google以後のロボット型検索で、いまさら覇を競う気もないのかもしれない。Bingの方はMSNをリプレースしたロボット型検索の効率を前面に、真っ向からGoogle検索に対抗しようとしている。ただGoogleはすでにロボット型検索が表示広告ときめ細かく連動する存在になっているので、検索の効率だけで今後シェアを奪っていくことは容易ではないだろう。


 Microsoftは何としても検索広告につながる検索シェアがほしいし、Yahoo!の方は新事業への資金がほしい。Yahoo!は検索部門を事実上切り売りすることで、その資金を得ようとしているのだろう。金融危機以前に両者が合併しているようなことがあれば、IT分野だけでなく金融にも影響を与えていたかもしれないが、仮に今回やっと検索分野だけで提携が成立しても、もはやIT分野内外ともに、話題的にあまり影響があるとは思われていないかもしれない。永い春すぎたか、経済事情が当時とは一変したせいか、MicrosoftGoogleの争いが、すでに検索分野に留まらず、ここ1年ほどでブラウザやOS、ネットブックスマートフォンにまで及んできているからかもしれない。いくらBingが優秀だったとしても、ITの話題としては、検索エンジンはどうしても一昔前のことのように思えてしまうからである。