Goolge Docsはオンライン・ストレージとなるか

 以前から噂のあるGoogleのストレージ・サービス(通称GDrive)が、ついに実現するのではないかという話が再び出ている。その根拠はGoogle Docsのメニューの「種類別」のところが、従来「PDF」の項目が「files」に変わったからだという。

「Google Docsはオンライン・ストレージへ姿を変える」,Google関連ブロガーが予想(ITpro)
グーグル,「Google Docs」のメニュー表示を変更--
オンラインストレージサービスへの布石か(CNET Japan)
Microsoft、真の脅威はGoogleの検索技術ではない(ITmedia)

 Google Docsのメリットの1つは、オンラインで編集したOffice文書がすぐにPDF文書に変換して、共有したりダウンロードできることがあった。Microsoft Office文書との書式の整合性の問題はあったものの、これを読み込んでオンライン上でPDF文書にしてしまうということは、緊急の場合にはやったことがある。以前はデスクトップでOpenOffice.orgでもやったことである。Acrobatの入ったPCが緊急時に近くにないような場合である。


 ところがOffice 2007になって(あるいはSP2)、PDF文書への変換が標準でできるようになり、Officeの中だけで文書作成が完結できるようになった。Microsoft OfficeのPDF文書化機能の欠落が解消されたわけだ(Adobeとどういう決着をしたかは不明)。そしてOffice 2010では、明らかにGoogle Docsに対抗したOffice Web Applications を発表している。WebサービスとしてのOfficeがついに出現ということもさることながら、SkyDriveとの連携が注目される。現在さまざまなストレージ・サービスがあるとはいえ、1ユーザ上限25GBはSkyDriveだけである。これがオンラインのOffice文書と結びつけば、一気にOfficeのWebサービスへの移行が始まる可能性がある。


 GoogleGmailはじめ、早くから大容量のWebサービスは提供しているものの、Google SitesGoogle Groupsなどの共有文書を保存するWebサービスの容量制限(quota)は100MBになっていたりする。そうなると、ファイルの数、容量とも大きくなってきて、オンラインのまま保存したくてもすぐ制限にぶつかることになる。それがWebサービス利用が進まない原因にもなる。そこで勢い、ネット上の文書はシンプルなストレージであるSkyDriveにファイルを保存しておくということもありうる。それゆえ、Office Web ApplicationsのSkyDriveとの連携は価値があるのである。Webアプリの保存メニューからアプリのファイルを保存できることもさることながら、ただの「アップロード」ボタンにより、何のファイルでもアップロード保存できることが、ユーザ側としてはありがたい。今のところ、MicrosoftはSkyDriveでストレージサービスにはアドバンテージがあるから、これを生かしてOffice Web ApplicationsでGoogle Docsを打ち負かそうということかもしれない。


 一方のGoogleでは、Webサービスごとにファイルを保存はできるのだが、あまりまとまったストレージを利用できるという実感がない。けれども実は全くないわけではなく、Google Sitesから(他のサービスからも行けるかもしれないが)、「その他の操作」→[サイトを管理]→[添付ファイル]からは、どんなファイルでもアップロードすることができる。ちょうどユーザのpublic_htmlフォルダのようになっている。さらにページ名がフォルダ名になっているので、階層ごとにファイルを保存できるようになった。Google Sites以前のPage Creatorでは実はこの階層化ができなかった。しかし単なる[upload]ボタンがあったから、ストレージのように使えたのである(それでも上限100MBだったが)。ただ「名前を付けて保存」にだけ慣れた一般ユーザには、わかりにくいとはいえただろう。セキュリティ面からも野放図なファイル保存を避けたいGoogleは、あえてそうしていたのかもしれない。

 
 というわけで、何もGoogle Docsのメニューに様々な種類のファイルがアップロードできることを暗示する[files]が追加されただけで、ストレージサービスへの布石かと考えるのもちょっと過敏すぎる反応にも思える。それよりは上記の各種サービスの100MBの上限を大幅に上げることの方が、本格的なストレージサービスに近づくと思える。


 しかし来年には現実化する Office Web Applications+SkyDrive に対抗するためにも、明確なGoogle Docs+GDriveの形を打ち出すかどうかである。OS、ブラウザ、検索エンジンそしてOffice+ストレージサービスその他と、Google vs Microsoft はWeb上での全面抗争の様相を帯びてきたようだ。