ネットブックの対抗馬のノートPCとは

 ネットブックがこの1,2年話題になってきたが、ここにきて超薄型ノートPCが話題になってきそうである。ネットブックの対抗馬との見方もあるが、多分にIntelなどの広告も大きい。実際に市場がどう向かうかは、簡単には予測ができないところだ。

ネットブックの対抗馬、「CULV」プロセッサ搭載ノートPC--価格か性能か(CNET Japan)
米国で300ドルを切るノートブックPCが相次ぎ登場(COMPUTERWORLD.jp)

 「CULV」ブロセッサ搭載の超薄型ノートPCは、価格はややネットブックより高いものの性能は従来ノートPCに近く、ネットブックの機能に不満だったユーザに受け入れられるだろうということである。そしてネットブックでは利益率の低いメーカーにとっても、良い結果になるだろうということである。まるでネットブックが目の仇であるかのようである。あるいはユーザが安価なネットブックに、誤った期待をしすぎたかのような見方である。


 しかし話が少しおかしい。ネットブックは、もともとEee PCのように台湾メーカーが風穴を空けたジャンルである。台湾ならではの可能な利益率だったかもしれない。だが、これに大手メーカーが新しい市場として続々参入した。それにMicrosoftまで、すでに終了を決めていたWindows XPを慌てて復活させて、この市場のOSも押さえようとした。そこからおかしくなったように見える。Windowsを入れたことにより、当然従来のノートPCと同じようなハードの機能、アプリケーションの搭載を期待するユーザが増えても当然で、メーカーもそのようなユーザの増加を期待したはずなのである。HD搭載のネットブックは、こうした目的に応えようとしたものであるといえよう。しかしネットブックにユーザが志向すればするほど、従来ノートPC市場が圧迫されることになり、大手メーカーはネットブックによって自分で自分の首を絞めかねない結果となっている。そこでネットブックよりも利益率が高い超薄型ノートPCの登場というわけである。Intelとしては、「Atom」ばかりでなく、新しいCPUの「CULV」の市場として売り込みたいところで、大きなアドバルーンを揚げているようにも見える。


 ただ、そう話は単純ではないだろう。ネットブックはPC市場に価格面だけでなく、大きな影響を与えた。これは文字通りネットに接続して利用するデバイスであるべきだということである。セキュリティ的にはシンクライアントであるべきだということである。ネットが進化してきたからこそ、ありうる形態であるということである。しかしそこに大手メーカーが売らんかなで、なりふり構わず従来ノートPCのような機能を詰め込もうとしてきた。そこでネットブックの本来の姿が見えにくくなったのである。そして今度はその役割を超薄型ノートPCに求めようとしているように見える。そうなると今度はネットブックネガティブ・キャンペーンを張ろうとしてきているようである。「ネットブックでは機能不足」「画面が小さい」「バッテリーの時間が短い」などなどである。


 しかしネットブックで切り開かれた流れは止まらないだろう。ネットブックそのものも進化を続けている。期待できるところでは、もはやデスクトップ的なWindowsの世界ではなく、Google Chrome OSのようにOSそのものがWebへとシフトしていく環境である。余分なアプリケーションソフトウェアも必要がない。Officeなども含めて、すべてWebサービスで業務が完了する。それはシンクライアントでもあるし、クラウド環境でもあるだろう。要するに、もはや個々のPCの性能としての比較だけの話ではなく、ネットの中ではどう位置づけられるかが、ネットブックの評価になっていくだろう。仮に価格だけでみても、ネットブックにしろノートPCのジャンルにしろ、300ドルを切るものすら出てきているという。ネットブックと超薄型ノートPCとの区別もできないような機種も登場してくることだろう。もはや、また少しでも高いノートPCを流行らせようという時代ではなくなるだろう。