産経新聞にWeb面が登場

 産経新聞にWeb面が登場した。毎週木曜日・7月30日から始まっている。新聞のWeb面というと何か違和感がある。Webの新聞ニュースサイトなら普通だが、ネットの話題を紙面で特集するという趣旨であるらしい。たとえ同じ記事でも、紙面とWebとではニュアンスが違うように感じられるのは、なぜだろうか。

産経新聞、ネットの話題を取り上げる「Web面」を新設(INTERNET Watch)
産経新Web面にTwitterやひろゆき氏「エンドレスエイト」も「ネットは...(ITmedia)
「新聞読みません」 2ちゃんねるの“ひろゆき”単独インタビュー(MSN産経ニュース)

 産経のWebサイトは、毎日から変わってMSNに載るようになり比較的見る方ではある。と、書いて気がついたが「新聞は読む」だが「Webのニュースは見るか探す」という感覚である。新聞は、まず「○○新聞」というステータスがあり、その中に載っている記事を見つけて読むという感覚だから、後で「○○新聞に載っていた」とか、同じように「テレビのニュースでもやっていた」となる。ところがネットの場合は、どのWebサイトに載っていたというのはあまり問題にならない。その話題が事実かどうかだけが問題で、そのソースが新聞やテレビにも見出されれば「確定」した事実となり、既に終わっている話になる。ネットでは必要な最新ニュースは探すという感覚である。もちろんRSSとか最近ではtwitterからたどるという方法もあるかもしれない。


 と考えてしまうと、ネットやWebの話題で新聞紙面に載る内容は、すでにネット上では終わっている話題なのではないかと思う。わざわざそれを特集して知らしめる対象の読者というのは、日常、新聞は読むがネットではあまり情報収集はしないような人達、たとえば団塊世代以上の人を想定しているのだろうか。とはいえ「ネットのヘビーユーザー向けのディープな内容も、「ミニ・ニュース」として取り上げる」ということにもなっている。そもそもネットのヘビーユーザが、インタビューのひろゆき氏ではないが、新聞紙面を、それもネット関係の記事をじっくり読むことはあるだろうか。結局は読むとしてもWebサイトで読むことになるだろう。実は自分も新聞は習慣としては読まなくなって久しい。自分にとって必要な最新情報のメディアではなくなっていることもある。暇なときに自分には関係のない社会の話題に、ぼんやりと目を通すというか保養する程度のことかとも思えてくる。


 新聞の生き残りをかけた試みとしては、紙面からネットやWebに近づくという方法の1つなのだろう。朝日新聞CNET Japanと提携するというのもその一環だろう。最近は記者自身もネット愛好者が多いことも事実だろう。朝日新聞の記者が2ちゃんねらーだったことが発覚したこともあった。しかし紙とネットという媒体の違い以上に、文化の差がまだまだ大きいことが違和感を起こさせるのだろう。新聞側の方がネット側に降りてきて、うまく融合することになるのだろうか。新聞はじめ紙媒体の方は部数の減少が続き、背に腹は代えられない状況となっていることは事実である。