AppleのGoogle Voice排除問題の行方
何かと話題にはなっているが、当面日本国内では関係なさそうなGoogle Voiceがちょっとした騒動になっている。App StoreがGoogle Voiceを排除したことと、それに米国連邦通信委員会(FCC)が調査に乗り出したというわけである。一見難しそうな問題だが、利害関係から考えると当然のことだろう。
FCC、アップルの「Google Voice」排除問題で調査に乗り出す--米報道(CNET Japan) アップル、「iPhone」向け「Google Voice」をApp Storeで認めず(CNET Japan 7.29) Appleはパンドラの箱を開けた? Google Voice締め出し問題の中間まとめ(TechCrunch) Appleは芯まで腐ったリンゴになりつつある(TechCrunch 7.28)
iPhoneにGoogle Voiceサービスを可能にするサードパーティ製ソフトウェアをApp Storeから締め出したというわけであるが、GoogleがAndroidでiPhoneのスマートフォンでのライバルになるからというだけの理由ではなさそうである。iPhoneを独占的に扱うAT&Tの意向ではないかとされている。すなわちGoogle Voiceの普及によって、IP電話の事業の主導権をGoogleに握られてしまうのではないかという懸念である。Google Voiceを導入すれば、固定だろうが携帯だろうが有線だろうが、究極のナンバーポータビリティが可能になるからというわけである。それは従来電話会社が電話番号と利用時間ごとに課金してきた縦割りの体系に、横から風穴を空けるようなものだろう。同じことをやるのだったら、電話会社が主導権を維持しながらやりたいはずである。
ところが拒絶したのが人気のiPhoneだけに、騒動が大きくなりそうである。AppleやiPhoneに対しての失望の声にもなりかねない。Google VoiceはオープンなだけにApple、AT&T側にとっては余計にやっかいだろう。拒絶すればするほど、オープンなものに対しての閉鎖性が際立ってしまう。それを聞きつけて、公的機関までが介入してくることになった。iPhoneとAndroidの関係はあるにしろ、これまでどちらかといえばGoogleとAppleの関係は良好なものだった。しかしこれを機に、Google vs Microsoft に加えて、携帯のジャンルではGoogle vs Appleの対立関係が鮮明になってくるかもしれない。
今のところ国内では対岸の火事とはいえ、IP電話の将来の姿を見据えたとき、決して無関係ではいられなくだろう。BlackBerryやAndroidでdocomoがGoogleに最も近そうだが、Google Voiceの導入を迫られたときにどう対処することになるのだろうか。改めて電話サービスとは何かを問われる時代がやってきそうである。