IE6の撲滅キャンペーン

 一方、古いバージョンを抱えて困るケースもある。IEだけで、IE6,IE7,IE8の複数のバージョンが混在しているのが現実である。特にIE6をどう無くしていくかが問題になっているようである。

「IE6はもういらない」―Web企業が撲滅キャンペーン(ITmedia)

 いわゆるIE6対策としては、セキュリティの問題もさることながら、HTMLとスタイルシートの標準に対応していないのが困る。そのためにIE6対応に特別な記述を余分に付けなければならなかった。いわば後ろ向きの対応である。このことがページの開発の効率を悪くしてきたわけだが、もはやIE6に配慮するよりも、IE6を使わないことを呼びかけるようにするというわけである。事実上の「IE6撲滅キャンペーン」である。しかし「撲滅」というと、不正行為やマルウェア扱いにさえ思えてしまう。


 長い間、独占的シェアが続いてきた弊害というべきだろうか。IE6がブラウザの健全な進歩を妨げてきたともいえる。ではそれに続くIE7やIE8はそれをカバーしているかといえば、そうもなっていない。それらはIE6を進歩させたというよりも、Firefoxに似せたバージョンといってもよく、IE6とは別系統のものといってもよいだろう。


 キャンペーンはよいが、IE6が残る多くは個人ユーザよりも、組織でのPCの場合の方が圧倒的に多いだろう。そして組織のPCだと、バージョンアップしたくても勝手にはできないのが現実である。結局はブラウザだけバージョンアップすることよりも、PCごとリプレースされるのを待つ方が早かったりする。ところがXPからVistaに移行した組織が少なかったため、自動的にIE6もそのままになってきたという現実がある。Microosftの場合には、新しいバージョンの宣伝をするばかりではなく、古いバージョンのIE6をどう終わらせていくかという責任もあると思われる。