Appleもクラウド参入か?
Appleがノースカロライナ州に巨大なデータセンターを建設予定であるそうで、これがAppleのクラウド参入の布石ではないかと憶測されている。以前からクラウドの時代には、5社くらいしかクラウドベンダーとしては生き残らないのではないかと言われているが、これでAppleが5番目くらいのベンダーとして名乗りを上げることになるのだろうか。
アップルの巨大データセンター建設--クラウド市場参入への布石か(CNET Japan) Apple社の巨大データセンター、目的はクラウド的新サービスか(WIRED VISION) Apple’s New Data Center Likely to Focus on Cloud Computing
すでに明確に意思表示し行動に移しているクラウドベンダーは、Amazon、Google、Microsoft、IBMがある。同じクラウドとは言ってもその特徴やターゲットには、それぞれ違いがあると思われる。現在進行形ともいえるからまだ多くは試みの部分もあるから、それも当然だろう。そして5番目以降があまりはっきりしていないと思える。PCの実績ではHP、ワークステーションとSolarisの実績で、Sunが当然参入するだろうと思われていたが、技術よりも経営難でOracleに買収されたことにより、クラウド参入は不透明になった。Oracleからは、あまりクラウドという話が聞かれないからである。
そこにAppleが今回の動きである。まだ憶測に過ぎないから何とも言えないが、もともとMacのハードウェアとOS、そしてスマートフォンのiPhone、iTunesストアなどの実績を考えれば、Appleがクラウドに参入できる条件は、もともと揃っていたと考えられる。ただAppleの方向性は、これまでスティーブ・ジョブズのカリスマ的な決定に沿ってきたといえるから、ジョブズがGOサインを出さない限り、いくら世の中の大勢が進んでいるからといっても、二番煎じ的な後追いをしないだろう。それがAppleの文化ともいえたからである。
しかしAppleがクラウドを進めるとすれば、Appleなりのクラウドサービスが展開できそうである。もともとサーバー環境としてはBSD UNIXであるMacOS X(NEXTSTEPが起源)があることだし、近年のiPhoneなどのスマートフォンは、まさにクラウド環境でこそ活きるものになることだろう。iPhoneユーザにだけクラウドを提供するだけでも、相当数のユーザの付くクラウドになりそうである。
もしAppleのクラウド計画が進めば、やはり相手はGoogleになるかもしれない。Android搭載のスマートフォンとiPhoneの争い、OSとブラウザでもバッティングしないことはない。Microsftほどではないにしろ、どちらかといえばデスクトップ分野のメーカーだっただけに、ネット分野でどうGoogleに対抗していくかである。伝統的なMacユーザはAppleクラウドのユーザになりそうだが、従来Macユーザではなかった一般のユーザを、どれだけAppleクラウドに取り込めるかであろう。もっともiPhoneユーザの方が多いかも知れないが、スマートフォンはiPhoneだが、PCはWindowsなどというユーザも多いだろう。クラウドは本来、サーバー側もクライアント側もOSの種類を意識しなくてもよいことが理想のはずで、そうなるとクラウドのサービスの質と量で差がつくことになるだろう。いずれにしても、ユーザにとっては特徴あるクラウドの選択肢が増えることはよいはずで、Appleがその一翼になることは望ましいことだろう。