九州大学がIBM・Googleのクラウドに参加

 クラウドの主導権争いの中で、クラウドベンダーは実験とアピールの意味も兼ねて、世界の大学と提携してクラウドのプロジェクトを薦めている。GoogleIBMは、すでに2年前から米国の有名7大学を中心に「並列計算」の研究プラットフォームとして提供を行っている。この当時はまだ「クラウド」という言葉が使われていない。

九大がIBM・Googleの大学向けクラウドに参加 国内初(ITmedia)
九州大学、日本で初めてIBM/Googleのクラウド・コンピューティング..(IBM)
IBM、九州大学を含む6大学とクラウドコンピューティングで提携(1.27)
GoogleとIBM、米有名7大学へ並列計算の研究プラットフォームを提供(2007.10.9)

 世界の大学に提携が広がっているようだが、もともとネットに国の壁はないはずだから、必要なのは技術とクラウドの中で何をやるかという目的だけである。またGoogleIBMクラウドの環境を提供してくれるわけだから、あまり予算や環境整備の労力もかからずに、大学側は純粋にプログラミングや、研究と教育の本来のテーマに専念できそうである。非公式にはすでに始めているところもあるとは思うが、このGoogleIBMのプロジェクトに公式には、日本の大学としては初めて九州大学が参加するという。今後、国内の他の大学にも広がることだろう。


 目的としてはHadoopによる大規模分散処理と応用、プライベートとパブリッククラウドの連携の研究も含まれるという。大学は固有のネットワークを持っているはずだから、この試みは面白そうだ。そうなるとGoogleIBMクラウドを利用するだけでなく、今は研究室単位だろうが、まず大学内、大学間のネットワークをクラウド化する必要が出てくるだろう。


 実は、クラウドは一流の大学ばかりでなく、小さな大学や学校にこそ普及の可能性があるといえるだろう。教育や研究のための環境を持たなくてもクラウドを利用できれば、大きな学校と同等の内容の教育を受けることができる、教育環境の均質化を図ることができるのではないか。ちょうどベンチャーや中小企業がインフラを持たずとも、クラウド上でビジネスが可能なことと同様である。教育環境は今後のクラウド発展のための、大きな応用分野の1つであることには間違いがないだろう。