Office Web Appsの評価はいかに

 Office Web Appsのテクニカル・プレビュー版が一部の外部テスターに公開され、その評価もいくつか出始めてきているようだ。自分もWindows Liveのアカウントを持ち、SkyDriveのユーザでもあるので、招待状メールが届かないかと期待していたがなしのつぶてだったので、言語の問題もあるのか米国中心だけだったのかもしれない。

ようやく公開されたWeb版Officeに大きく失望(ITpro)
MS、ブラウザ版「Office Web Apps」のテクニカルプレビューを開始(CNET Japan 9.18)

 自分で使ったわけでないから何とも言えないが、案の定、Google Appsのようらしい。Officeとしての機能は当然のごとく基本のものに限られ、作成したファイルがダイレクトにSkyDriveに保存できるというのが売りであるようだ。もっとデスクトップ版のOffice 2010の機能に近いものを期待した人には拍子抜けといったところだったのだろうか。


 Google Appsがそうであったように、Web版では重装備の機能が無理なことは予想できる。処理が重くなるだろうし、何よりWeb上でそんなに細かいOffice機能を使いたいとも思わない。Office文書がファイル互換性があって、容易にネットで共同作業者とファイル共有ができれば、とりあえずは利用効果あるというところである。


 しかしOfficeの利用に力点のあるユーザにとっては不満かもしれない。Web上でなるべくデスクトップOfficeと同じことができることを望むだろう。問題はWeb版のOffice機能がなぜ軽いかというスタンスである。Google Appsの場合は、もともとMicrosoft Officeの代替となるようなWebサービスを作ろうとしたわけではない。一連のGoogleWebサービスにOffice互換の文書を簡単に作れるものを追加しただけである。デスクトップとははなから土俵が違う。もともとGoogleにはデスクトップ・ソフトウェアはないのである。


 しかしネットの分野ではGoogleを追う立場になったMicrosftにとっては、Office Web Appsは初めから両刃の剣である。Google Appsを上回るだけの優秀な機能、あるいは最新のOffice 2010に準じた機能を搭載してしまえば、デスクトップ版のOffice 2010が売れなくなる恐れがあるからである。であるから、Office Web AppsはあくまでOffice 2010のオマケか、Office 2010のプロモーション的役割を果たすだけのWebサービスであってほしい、というところが本音であるだろう。たとえ同じような機能だったとしても、Google AppsとOffice Web Appsでは、Webサービスとしてのスタンスが異なるのである。


 しかし、先にはクラウドの中のサービスとしてのWeb版Officeの位置づけが見えてきている。そこまで現在のような完全版Office?の限定機能版を小出しにしながら続けていくのか、クラウドへ全面移行するようにOffice Web Appsだけに移行することを目指すのか、PCのあり方そのものも転換することにもなるので、Officeはクラウドへの試金石といってもよいかもしれない。Officeは圧倒的なドル箱だっただけに、それを捨てることを迫られるMicrosoftは苦しいことになるだろうと感じる。