「Native Client」を組み込んだChrome 4.0

 GoogleがNative Clientを組み込んだChromeの新バージョンを発表した。まだそのまま一般に利用できるようではないようだが、Chrome、Gear、Native Clientときて、いよいよ先にはChrome OSが登場するベースが揃ったように見える。

グーグル、「Native Client」を組み込んだ「Chrome 4.0.220.1」をリリース(CNET Japan)
Google、Webアプリでx86ネイティブコードを動作させる「Native Client」発表(ITmedia 08.12.10)

 MicrosoftがデスクトップからネットやWebへと向かっているのに対して、Googleはその成り立ちからネットからローカル環境に近づいている。デスクトップアプリケーションでやってきたことをWebベースで実行するには、サーバー側に実行させてその結果だけをクライアントで受け取るというものであった。しかしこのやり方だと、どうしてもパフォーマンス的にデスクトップアプリケーションには及ばない。そこでWebアプリケーションをローカル(ネイティブ)でも実行できるような環境をブラウザで提供しようとするものである。


 確かにWebはブラウザを通してとはいうものの、JavaScriptではなくともWebページの開発やコンテンツの再生をローカルで行うことはしばしばある。ブラウザで実行できるコードが、背景ではネイティブ環境を利用して実行できてもいいはずである。それがWindowsというのではなく、x86レベルのコードが実行できるということになれば、Webアプリケーションだけを実行する前提であれば、Windowsそのものが不要になる。そこはブラウザOSと言われるChrome OSが実証しようとするところだろう。


 ここにきて、GoogleがなぜFirefoxがあるにも拘わらず、Google Chromeを出すことになったかの理由がわかるような気がする。それはブラウザのシェアの争いに参加することではなく、Webアプリをローカルでも動かすために環境作りということであろう。