ノーベル物理学賞は光ファイバーとCCD研究

 2009年度のノーベル物理学賞は、どちらかといえばテクノロジーといえる光ファイバーとCDD研究の各氏に贈られることが決まった。昨年の素粒子論の日本人3氏の場合とは、だいぶ傾向が変わったようにも見える。

ノーベル物理学賞、光ファイバーとCCD研究の3氏に(CNN.co.jp)
情報革命の立役者、生活スタイルも変えた ノーベル物理学賞の3氏(MSN産経)

 物理学賞といえば、伝統的に素粒子論のような純粋な理論や、加速器レベルの大規模な実験に関わった人が受賞していた印象があったが、それは物理学でも最も原理的な内容についてが受賞対象だったからだろう。それから考えれば、今回の受賞内容はかなり異色の内容といえるのではないだろうか。光ファイバーにしろCCDにしろ、現代文明を支えるものとして必須のものになっているとはいえ、それは本来の物理学賞とはやや趣旨が異なり、もしノーベル工学賞などがあれば、そちらの内容になったものではないだろうか。物理学賞はおよそ実用とかに無関係の、一般人からすればおよそ現実離れした内容のものだったといえる。


 それが今回のような内容が対象になったのは、原理的な内容に当たる業績が見当たらなかったか(適当な推薦がなかったか)、あるいは今後は対象のの内容を広げるということになるのだろうか。確かに昨年の日本人3人の素粒子論の内容の受賞はすばらしいが、すでに30年前から半世紀近く前の業績に対してである。それだけ原理的内容の業績を見い出だすのは年々難しくなっているのかもしれない。