仕事にもネットブックの時代

 ネットブックが普及してきてからも、価格は魅力だが、やはり機能的には従来型ノートPCには劣り、仕事には使えないという評価も多かった。自分はそうした見方には賛同しかねるのだが、ようやく肯定的な意見も目立つようになってきたようである。あたかもtwitterが当初の頃はビジネスでは使えないとされていたのが、現在ではこぞってビジネス利用をしようとしている状況に似たところがあるように思える。

そろそろ「仕事にNetbookを使う」ことを考えよう(ITmedia)

 なぜ仕事にも使えるのかという理由がいくつか挙げられているが、割と当たり前のことばかりで、やや理由としては弱い気がする。一通り見た上で、さらに理由を付けてみることにしよう。

  1. 携帯性
  2. 従来のノートPCから、重量1Kgを切るくらいでないと、携帯性は難しいと思われた。ネットブックは初めから1Kg程度であり、しかもスペックは高いので、現在では携帯性といえばネットブックスマートフォンといえるだろう。
  3. 価格
  4. かつて30万円近くでノートPCを買ったが、現在では3万円で買えるネットブックもある。当時と同じ予算があればネットブック10台を買えることになる。10台あれば、ネットブックだけで並列処理とかミニクラウドを構築するようなことも技術さえあればできるような気がしてしまう。
  5. 信頼性
  6. 少なくとも、安かろう、悪かろうではない。セキュリティという観点で考えれば、むしろ重装備のノートPCのような発想はやめて、シンクライアント的な活用を考えれば、信頼性はずっと増すことになるだろう。
  7. 画面の大きさ
  8. 従来のデスクトップや大きなノートPCに慣れた人からすれば、画面が狭いのに不満に感じるかもしれない。しかしこれこそ仕事の内容によるだろう。デザインや画面設計などならともかく、テキスト処理中心であれば十分の広さだと思える。携帯性とのバーターでもある。
  9. パワー不足
  10. 特にOfficeのパフォーマンスが不満という人はいる。しかし、それこそOfficeを使うのが主目的でネットブックを導入するのかということになる。ネットブッククラウドを通じてWebサービスを利用するのが主体と考えれば、パワー不足という意味は1台のネットブックだけの話にはならないだろう。
  11. 参入ベンダー
  12. 大手のPCメーカーはほとんどネットブックに参入した。自らノートPC市場の首を絞めているような気もするが、軒並みPCの売り上げが落ちている中で、唯一勢いがあるのがネットブック市場である。
  13. 企業がターゲット
  14. twitterと似て、最初はマニアックな人のツールだったが、ビジネスのシーンでどう使えるかを本格的に考える時期になってきたようである。単に値段が安いからといって、従来ノートPCと単純にリプレースするだけの発想ではうまくいかないだろう。Office中心の業務を変革するような発想が必要かもしれない。
  15. 景気は不透明
  16. 業務そのものを変革しなければならない理由は現在の厳しい経済情勢がある。業務を変革する発想の中にネットブックの活用法のヒントがあるといえるかもしれない。
  17. これからどんどん改良
  18. ネットブックは非力だといっても、ネットブック市場が拡大していけば、ネットブックそのもののスペックは高まるし、多くの付加的機能を持つ機種も増えていくことになるだろう。
  19. 売れている
  20. これまでは個人ユーザ中心だったが、今後は企業や学校などで大量導入される例が増えていくことだろう。特に教育分野ではネットブックでも十分であると考えられるし、工夫の余地が大きいのではないかと思える。
  21. クラウドとの相性
  22. ネットブックという名前の通り、アプリケーションを動かすよりはネット環境を前提としてWebサービスクラウドにアクセスすることが主な利用法になっていくだろう。デスクトップからWebへの移行の象徴的存在がネットブックである。おのずと仕事もデスクトップからWebへの移行が迫られる。そのときに前提となるのがネットブックになっていくだろう。
  23. シンクライアント
  24. 業務のWeb中心への移行は、同時にクライアントのシンクライアント化を意味することになる。従来のようにクライアントに有料のアプリケーションソフトウェアを詰め込むような時代ではない。OSですらそうである。Windows 7ネットブック用OSとしてどうかと見られているが、デスクトップアプリを動かすためのOSは重要ではなくなる。ネットブック用にChrome OSが出てくれば、よりそうした傾向は強まることになるだろう。同時に自ずとセキュリティが高まることにもなる。