5年後のWebはどうなる

 いつの時代もそうだが、5年10年後のコンピュータやネットワークの姿の予想は、素人、専門家問わず、誰しもが当たった試しはないだろう。後になってみれば、誰も予想しなかった方向に進歩を遂げていることが多い。インターネットしかり、Webの進歩もしかりである。

グーグルCEOシュミット氏が語る5年後のウェブ--大きく変化するインターネット(CNET Japan)

 Webが出始めた15年ほど前(1994年頃)の予想では、インターネットでもWebは眉つばもので、やはり役に立つのは電子メールであるなどという予想もあった記憶がある。さらにその5年前にさかのぼれば、PCでまともにUNIXが動くことなど誰も予想していなかった。今になってみればPCのUNIXであるLinuxがインターネット、Webのサーバーを支えている。


 ここ5年のことでみれば、動画がYouTubeのような形で急速に普及するとは誰も考えていなかっただろう。5年前のPCやネットの入門書を見ても、当然ながらYouTubeの名前さえ出てこない。Webと動画コンテンツの結ぶつきは、今後も急速に発展していくことは予想できる。ただYouTubeが独占的になっているので、Googleの意向だけで方向性が定まるものだろうか。テレビやラジオとWebが近づきつつあるとはいえ、どのような形になっていくかは、まだまだ予想がしにくい。予想が外れた例としては、Second Lifeのようなバーチャルワールドが普及しなかったことである。やはり、リアルの動画の方が一般ユーザには受け入れられたようだ。


 世界全体でいえば、クラウド時代が進展してくると、人口が多く経済力も今一番勢いのある中国が、日本を通り越して発展してくる可能性は高い。本来ネットに国境はないとはいえ、インターネットやWebの世界で日本はどこに活路を見出していくことができるのだろうか。不況脱出の足がかりとなる産業の勃興と関連してくるようにも思える。


 Webと動画がますます発展すれば、それは情報のリアルタイム性がさらに高まることになる。文字だけのシンプルなtwitterが注目を浴びているのは、その強いリアルタイム性ゆえであろう。同じように動画ももっとリアルタイム性が高まるには、どういう仕組に変わってくるか。ビデオカメラから動画をコピーしたりアップロードしていたのでは追いつかない。ストリーミングの仕掛けとして、ビデオカメラそのものが仮想サーバーのようになっていて、本来のサーバーのあるクラウドと常に接続されているようなことが可能になるかもしれない。動画ファイルのやりとりはサーバー間でバックグラウンドで勝手にやっていればいいものになる。


 5年先でも誰もが予想がつかないくらいなので、Google CEOが期待交じりのその戦略に沿った予想だろうが、おそらく予想通りにはいかないだろうし、思わぬ新たな展開が見られるだろう。むしろそれがなければ、本当の意味での進歩にはならないだろう。GoogleにしろMicrosoftにしろ、進歩を遅らせたり阻害する存在にはなってほしくはない。