小学6年生のインターネット利用率は88%

 PCの普及、インターネットの普及が進んで久しいが、低学年の小学生までの利用も進み、小学6年生で88%にまでなっているという。もう何年か前に甥が「明日は学校でグーグルで調べ物学習だ」などと言っているのを聞いて、ずいぶん時代も変わったものだと思ったものだが、小学校まででほとんど全員がインターネットを利用したことがある、というのが普通になるのも間近になりそうだ。

小学6年生のインターネット利用率は88%、gooリサーチ(INTERNET Watch)

 小学6年生ばかりでなく、何に使っているかはともかく小学1年生ですら47.4%に達している。学年が進むほど当然のごとく利用率は増加していく。学校の授業などで覚えた(24.7%)というより、親が教えた(49.8%)の方が圧倒的に多いのはPCとネットの普及を表しているといえるだろう。親が子供にインターネットを教えるというのも、親子の会話の手段となっているのだろう。自分など親が職場から家に持ち出していた「手回し計算機」を物心ついた頃に触らせてもらった記憶があるのだから、まさに隔世の感ありである。


 ただ、最近は携帯を含めて、子供にフィルタリングを適用するかどうかが問題になっているから、親にとっては頭が痛いところである。あまりネットの規制どうこうは賛成しかねるのだが、いろいろな家庭があるから一律に規制せざるをえなくなるのだろう。それ以前に、学校の授業で算数や国語の時間を減らしてまで、やたらPCやネットを教えるのも賛成しかねる。小学生くらいのときは、まだ脳が成長するさなかである。いくらコンピュータが時代とともに進歩しようとも、人間の脳がアナログであることは変わらない。だから成長期にはアナログとしての脳を徹底的に伸ばす必要があるのである。デジタルであるPCやネットはその後でも十分であろう。大人と違って、いくらその時点のPCやネットの動向から遅れていると考えても、子供にとってはたいしたことではない。どうせ小学生時に習った程度のPCやネットの内容は、彼らが大学生や大人になった頃には既に時代遅れのものになっているからである。それよりはアナログ脳をの伸ばすのは、一生の中で成長期においてしかない。大人になってからではそれこそ手遅れだからである。


 たとえば手で紙の辞書を引く経験をする時間を削ってネット検索ばかりしても、脳は活性化されないだろう。マウスやキーボードよりは、ペンや習字で字を書いたりする方が、よほど文字に対する感覚が植えつけられるだろう。問題になった電子黒板で指で字を書くと、すぐにデジタルの活字体が表示されるようなものがあったが、同じ文字でも手書きで書くと、それが書いた人の性格とか特徴を表していることを感受性の強い年代で経験することの方が重要である気がする。


 子供の早い時期からPCやネットを知らないと、将来時代についていけなくなると不安がるのは、親や大人の論理である。自分たちが大人になって苦労しているのは子供の頃からPCをやっていなかったせいだと、何かコンプレックスのように思っているからかもしれない。教育内容を決める審議会の人間や学校の先生にしてもそうかもしれない。


 PCをやるな、ネットをやるなとは、そういう時代なのだから言うことはできない。テレビや漫画が普及してきた頃、新聞や本を読まなくなるから見てはいけないと言うのと同じ理屈である。ただそれらに迎合するのではなく、子供の頃はデジタルのトレーニングよりも、アナログ脳を鍛えるための時間を減らすべきではないと思えるのである。