GoogleがWebの高速化プロトコル「SPDY」を発表

 Chromeでブラウザの高速化を実現したGoogleだが、それに留まらず、Webに関連するアプリケーション・プロトコルによる高速化まで踏み込んできたようだ。新しいプロトコルはSPEEDYを略したSPDYという、文字通り高速化のためのものであるという。

Google、HTTPを補う高速化プロトコル「SPDY」発表(ITmedia)
ウェブの高速化を目指すグーグルの「SPDY」...(CNET Japan)
Google,Web高速化技術「SPDY」を開発者向けに公開(ITpro)
Google Continues Its Push To Take The Web To Breakneck Speeds(Techcrunch)
SPDY:An experimental protocol for a faster web(Chromium Developer...)

 現状でHTTPプロトコルTCPの上にSSLを用いてセキュアなプロトコルとしている。しかしHTTPプロトコルはデータ転送の点から見れば決して速くはない。そこにSSLが介在すればなおさらである。そこでプロトコルそのものの高速化を目指したということか。


 Chromeでは、HTTP or SPDYとしても、HTTP or SPDY + SSLとしても機能するようである。HTTPとHTTPSともに高速化できることになりそうで、目標は50%の高速化だという。SPDYに対応したChromeのコードも開発者向けに公開される。


 そうなると、GoogleWebサービスとそれに接続するChromeブラウザ間では、さらにWebの読み込み・表示が高速化されることになるだろうが、問題はこのプロトコルがWeb一般に普及するかどうかであろう。クラウド、ブラウザ、さらにはChrome OSなどのGoogleの戦略にも関わることになるだけに、他のベンダーが乗るかどうかである。新しいプロトコルの提案のやり方にもよるかもしれない。


 SSLはかつてNetscapeによって提案されたプロトコルだが、現在は標準化団体IETFによってTLSとともに管理されている。今ではSSLはWebやVPNなどのセキュリティ上の標準として広く普及している。Microsoftなどは一時期、Netscapeに対抗する意味もあったのだろうが、PCTなるプロトコルをブラウザに実装していた。結局はSSLの標準化に従うことになったが、インターネット上でローカルなプロトコルが存在してしまうことほど迷惑なものはない。


 SPDYもGoogleが強引に進めようとすれば、プラウザやOSの争いとの兼ね合いもあって、標準化できなくなるかもしれない。しかしWebの高速化はこれからますます望まれることには間違いはないわけだから、Webに関連した新たなプロトコルの動向は注目されるところであろう。