ニュートンの逸話の原稿がネットで公開

 英国王立協会が、ニュートン万有引力の発見の逸話をまとめた18世紀の原稿などをネットで公開されている。どこかの博物館にガラスのショーケースに入れられているような歴史的文書の新しい展示方法といえるかもしれない。

「ニュートンとリンゴ」の逸話の原稿、ネットで公開(ITmedia)
Memoirs of Sir Isaac Newton’s life, by William Stukeley(Royal Society)

 誰でも聞いたことがあるニュートンのりんごの話のエピソードのもともとの原稿らしい。英語でどの部分に書いてあることか、詳しくは見ていないが拡大してみると手書きながら英文を判読できるものである。ニュートンのりんごの話は後世の作り話だという説も聞いたことがあったようにも思うが、証拠となる原稿が残っているというわけだろうか。Wikiによれば、その英文は以下の部分であるという。


when formerly, the notion of gravitation came into his mind. It was occasioned by the fall of an apple, as he sat in contemplative mood. Why should that apple always descend perpendicularly to the ground, thought he to himself. Why should it not go sideways or upwards, but constantly to the earth's centre.


 子供の頃に読むような偉人伝では、たまたまりんごが落ちたときに万有引力のアイデアが閃いたのが、その瞬間だったことが強調されていたように思う。科学者は常に何かのアイデアを考えているものだろうから、何かのきっかけでそのブレイクスルーに行き着くことはありうる話だろう。それはりんごが落ちたときでも、トイレに入っているときかもしれないし、どんなきっかけでもありうるかもしれない。ただ、うがった見方をすれば、天体が規則的な運動をすることと、りんごに重力が働いて地表に落ちる現象が、共通の普遍的な法則によって支配されていることに閃いたということだろう。つまりマクロな天体とミクロな地球上の物体には同じ種類の力が働いていることを思いついたというわけだ。歴史的にはケプラーの天体運動の法則とガリレオの自由落下の法則が統一されることを意味していただろう。
 とはいえ、天才の頭の中は到底わからない。「りんごが落ちた時」というのは、ただの冗談だったかもしれないし軽い気持ちで言ってみただけだったかもしれない。しかし後世の人には印象的なエピソードだったので、有名な話になったということかもしれない。



Full3Dでの文書表示


 それはともかく、Full3Dでページをめくるかのように見ることができる展示方法は、こういう博物館的な文書には有効であることがよくわかる。なお、ニュートンのりんごの木の接木は世界各地に移植されているようで、日本でも小石川植物園にあるそうである。