Windows Azureが正式リリース

 MicrosoftクラウドというべきWindows Azureが正式提供を開始した。これでパブリックなクラウドAmazonGoogleMicrosoftの構図がはっきりしてきたといえるだろうが、Windows Azureはどんな方向へ進んでいこうとしているのか。 

Microsoft,「Windows Azure」の製品版を21カ国でリリース(ITmedia)
Microsoftの「Azure」,ついに正式提供へ(ZDNet Japan)
MS、「Windows Azure」を研究者に無料提供...(CNET Japan)

 Azureプラットフォームは3つの構成要素からなり、それぞれWindows AzureSQL Azure、およびセキュアな接続およびアプリケーションの連係アクセスコントロールを実現する.NET サービスであるという。クラウドWebサービスを展開するときに、最も問題となるデータベースの部分をSQL Azureとして提供し、ここに課金を発生させる仕組みのようである。また.NETサービス部分によって、デスクトップやWeb上で開発されてきたアプリケーションのAzureへの移行を進めさせることになるのだろう。おそらくネットワークを、Windows ServerやSQL ServerVisual Studioをはじめとして、すべてをMicrosoft製品で固めて運用してきたシステムにとっては、スムーズに移行しやすいものとなっているのだろう。


 しかしLANの中だけならまだしも、現実的には圧倒的に多いLAMPなど、Linuxサーバー中心によって運用してきたシステムを仮にAzureに移行させようとするのは、かなり困難というべきか、システムを作り直す必要があることになるかもしれない。そうであれば、結局のところ開発者としては、先にAzureありきではなくて、システム移行の手間と合理性、最終的にはコストの問題として、AmazonGoogle、Azureなどからの選択をすることになるかもしれない。


 クラウドになってしまえば、組織のユーザと個人ユーザも、技術力にあまりに差がなければ、ますます小さな違いになっていきそうである。自宅サーバーでチマチマやる時代ではなくなるからである。この点ではGoogleGmailなどで、クラウドユーザ予備軍を多く抱えているといってよいだろう。それに対して、MicrosoftはOfficeユーザをAzureに取り込もうとしているようだ。つまりフリーで登録できるWindows Liveユーザがそのままで利用できるAzureの機能は、Office Web Appsのように限定されたものだが、Officeのパッケージを購入したユーザはフル機能を利用できるようになるというものである。これはもはや、Officeの購入がWordやExcelを利用することが主目的ではなくなることを意味する。Officeの購入=Azureのライセンス料というように「移行」させることになるかもしれない。果たしてMicrosftのライセンスペーバー商法も、クラウドにスムーズに移行?ということになるのだろうか。