朝青龍引退後にアノ人も動く?

 朝青龍引退の話題が尾を引いているが、それはあくまでも相撲側から見てのことであり、すでに水面下では格闘技側からのスカウトの打診がなされているかもしれない。捨てる神あれば拾う神ありではないだろうが、もともと朝青龍は相撲よりも格闘技向きという見方はあった。PRIDEがあった頃から、朝青龍側と接触していち早く行動していたのも猪木だったように思う。

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 また猪木がシャシャリ出てきてと思う人もいるだろうが、品格、品格の大合唱のような横綱審議委員やらマスコミを相手にしているより、猪木を相手にしていた方がよほどマシかもしれない。朝青龍の問題で日本とモンゴルの関係すら、おかしなことになりそうだというのに、品格のことばかり言っている人にはそのことへの意識や言及はない。猪木なら「品格?バカヤローッ!」と一喝しそうだ。何よりもわかりやすい。朝青龍ならいずれモンゴル大統領にもなれるという見方もあることから、猪木はWWE殿堂入りの式典に参加してほしいとのことである。予想される参加者の顔ぶれからも、国内だけでなくもっとグローバルに見てほしいということであろうし、当地では「スモウレスリング・グレイトチャンピオン」として歓迎されることだろう。そういえばWWEでは、かつてヨコヅナというキャラクターのチャンピオンがいた(サモアのグレート・コキーナ・故人)。


 格闘技には選手のファイトスタイルと、また興行的な面がある。地味に強いだけでも人気は出ない。興行側からすれば元横綱というのは金看板ではあり、朝青龍ほどの実績があればなおさらである。ただ曙の場合は、結局ファイトスタイルが合わず、元横綱の金看板も生かせなかった。相撲から格闘技への転向の難しさである。立合いのスピードと瞬発的な破壊力だけなら相撲が最強だろう。しかし長い試合や寝技や関節技の攻防になると、相撲出身者はお手上げの状態になる。K−1のように立ち技だけであっても、ボクサーのようにパンチが訓練されているわけでもない。ただ、今の総合格闘技の面白さは、柔道、空手、レスリング、ボクシング、相撲などの出身者が一堂に会して戦うところにあるといえるだろう。それぞれ得意、不得意のジャンルがあるから、最終的にはいかに自分の得意パターンに持ち込めるかの戦いになる。立ち技系が有利か、寝技系が有利か、あるいは選手の対応能力かは大きなテーマでもある。朝青龍は相撲出身というだけでなく、モンゴル相撲をベースにした技とスピードや対応能力が期待されるところである。


 そういえば、日本のプロレスの開祖であり猪木の師匠だった力道山は、二所ノ関部屋出身で初代若乃花(貴乃花親方の叔父)の怖い兄弟子であり、部屋での親方との対立から、関脇のまま自らマゲを切り落として相撲界を去り、プロレスを興した人だった。厳密には外国籍で日本のヒーローになった人でもある。相撲だけでなく格闘技の世界でも、現在は日本人のエースは不在であり、すでにPRIDEはなくなり不況の時代に入っている。一時期話題の桜庭、吉田、小川もすでに40歳を超えてしまった。再び日本に格闘技かプロレスでブームを呼び戻す可能性があるとすれば、キーマンは抜群の実績を持つ五輪金メダリストの石井と元横綱朝青龍という気がする。猪木が手を出したがるわけである。石井は小川の勧めにも拘わらず、早々と猪木への弟子入りを拒否したが、朝青龍の一家との関係からも、案外猪木が朝青龍のプロデューサー的立場で結びつく可能性はある。