Googleのソーシャルネットワーキングは苦戦

 Android, Chrome OS, 各種のWebサービス、そしてクラウドと、ネットのあらゆる分野に進出しているGoogleだが、忘れ去られている分野もある。ソーシャルネットワーキング(SNS)である。MyspaceFacebookなどが進出してきた頃でも、Googleは当時の戦略的にあまりSNSには力を入れていないのだろうと推測されていたが、必ずしもそうではなかったようだ。

苦戦続くグーグルのソーシャルネットワーキング事業--新戦略の方向性は(CNET Japan)

 Googleが技術中心にWebサービスを考えるが、SNSは人間関係を中心に考えなければならない。Googleはどうも文化的にそれが苦手だといえたようだ。GoogleSNSといえば「Orkut」があり日本語版もあるのだが、参加するどころか名前すら知らない人の方が多いだろう。世界的にはブラジルの大学生中心だけには人気があるとのことである。何やら地域限定のSNSのようだ。FacebookMyspaceなどはホワイトハウスさえ利用している。


 もう1つ、Googleの戦略としてはOpenSocialという、Androidのようにオープンソースを公開して共通基盤のSNSエンジンにしようとしている。国内ではmixiなども参加を表明していたが、その後あまり話題になっていない。結局、Facebookなどの人気のSNSは独自のシステムで行っている限りは、OpenSocialはあまり日の目を見ないだろう。Googleの苦戦しているのは、OrkutのようなWebサービスの1つではなく、OpenSocialが普及していないことの方が大きいだろう。


 狭い意味ではSNSとはいえないが、人間関係のつながりをベースにしたシステムするという意味では、OpenSocialと同じ時期に急速に伸長してきたのはTwitterの方である。GoogleYouTubeのようにTwitterも買収したい意思もあったようだが、今となっては相当困難になっていることだろう。よってGoogle独自にソーシャルネットワーキングの戦略の立て直しが必要というわけである。


 別の考え方としてGmailを徐々にSNS化するというものもあった。Gmailの機能はWebサービスだけに、いつのまにか少しずつコミュニケーションのための新機能が加えられている。次の日に気がついたらSNS的な使い方ができるようになっていたということもありうるだろう。だがそれはやはり技術的に可能だけだというだけで、そこに現実的に人間の多くのコミュニティが形成されていなければならない。こうしたコミュニティを自ら作っていくのがGoogleは苦手なのかもしれない。どちらかといえばWebサービスのシステムだけを提供して、あとは勝手にお使い下さいというスタンスだからである。これはGoogle検索の頃からの文化だったともいえよう。


 ただ狭い意味でのSNSが現在のままで続くとも思えない。すでにSNSの一般利用は頭打ちになってきていて、これからはむしろネットの内側(LANの中)へ向かうのではないかと思える。SNSにとって代わっているように見えるのは、むしろマイクロブログともいわれるTwitterである(ブログというよりマイクロSNSという気がする)。流行ということもあるし、システムが進化していくことによって、また新たな潮流が出てくる可能性はある。Googleに限らずに、そうした潮流を生み出す組織が出現してくることは健全であるともいえるだろう。