日本経済新聞が3月から電子版を創刊

 日経新聞が3月から有料の電子版を創刊する。月額1000円からというので随分思い切ったものだと思いきや、紙面購読者の場合で、電子版のみの購読は月額4000円だというから、紙面購読とほとんど同じ額になる。いよいよ新聞の電子版の有料化が始まりそうだが、その結果はどこへ向かうことになるだろうか。

日本経済新聞、電子版を3月創刊。購読料は月額1000円から(INTERNET Watch)
日経新聞、月額1000円からの電子版を創刊--NIKKEI NETを継承(CNET Japan)

 電子版はNIKKEI NETを拡張する形になりそうだが、記事内容は同じでも新聞紙面と同じ画面もFlashでも見られるようになるという。有料なのであれば、どちらかといえばこちらに期待したいものだ。近い将来的には、iPadKindleのような電子書籍リーダーの普及を意識しているのだという。


 ただでさえ、一般雑誌や書籍と同様に新聞購読者は減少を続けている。新聞の電子版がこれから新たな読者および購読者を獲得していけるか正念場を迎えているといってもよいだろう。電子版ならではの付加価値も付く。1つは過去記事の検索機能である。紙面でバックナンバーを取り揃えている人はほとんどいないだろう。図書館に行っても、過去記事を入手できる期間はやはり限られている。それが電子版だと当然だが簡単に検索して見つけることができるようになる。昔であれば、趣味的に特定の記事の切り抜きをして、スクラップブックを作ったものである。今では切り抜きをしているという話もほとんど聞かなくなった。趣がなくなることはともかくとして、これからは完全に不要の作業になるだろう。


 もう1つは日経ならば、新聞だけでなく、他の関連する雑誌記事との連携である。新聞記事というものは一般向けの内容なので、どうしても表面的なことしかわからない。より深い関連の記事を「日経◯◯」のような雑誌の、やはり電子版から引っ張ってこれるということだろう。さらに言えば、電子版は毎日の新聞記事と月々の雑誌の記事の境界がなくなってくるということにもなるだろう。出版社もこれから生き残れるかどうかというところだが、新聞と雑誌が緩く融合するという方向もありうるかもしれない。