浅田真央、逆転ならず銀メダル

 国民を挙げての期待がかかっていた浅田真央の五輪金メダルはならなかった。普通ならば銀メダルでも十分快挙なのだが、真央にかかっていた期待は想像以上に大きかったのだろう。ただ内容的には、プレッシャーに負けたわけでもなく、五輪で3度ものトリプルアクセルを決めるなど十分な演技だったはずである。相手の得点が高すぎたとしか言いようがない。

真央、逆転ならず銀メダル…金妍児、圧巻の金!(SANSPO.COM)
高難度技決めても勝てない…問われるあり方

 「勝ってほしい」というより「勝たせたい」と思える唯一の五輪代表だった。五輪代表の多くは、ある程度予想されていたとはいえ、メダル獲得という点では多くは期待外れが続いた。惜しかったというより、現在の実力では入賞が精一杯というのが現実だったようだ。まるで今の日本の経済状況を反映しているかのようだった。そんな中で真央だけは、金メダルが取れて当然というだけの実力があった。他の競技では金メダルが遠いだけに、なおさら真央への期待が大きくなっていった。ただ、五輪では何が起こるかわからない。真央の場合は相手よりも自分の調子だけが問題だと思われていた。


 女子の代表の中ではトリプルアクセルができるのは真央しかいない。しかし困難な技だけにリスクもともなう。実際、五輪では男子の4回転を含め、リスクを回避して安定な技だけの構成に変更する場合も多い。今シーズンの前半ではトリプルアクセルが決まらずに悩んだが、最後まで自分の代名詞を避けることはなく、五輪でも史上初といえる成功を収めたことは賞賛に値するだろう。先駆者である伊藤みどりからの伝統を受け継いだ、日本のお家芸となったといってもいいくらいである。


 しかしそれにも拘わらず、フィギュアの得点的には最高点までは伸びなかった。フィギュアの採点のしくみの難しさである。いろいろな議論がありそうだが、あえて言うまい。
 これだけの期待を背負って、多くのマスコミにも気丈に対応している姿を見ると、やはり勝たせたかったと強く思う。


 4位には長洲未来が入った。期待では1位真央、2位未来だった。お疲れ。今後に期待することにしよう。