IPサイマルラジオはどうなる

 IPサイマルラジオ「radiko.jp」の試験運用が開始された。幸いにも受信エリアに入っているので、今もTOKYO-FMを聴きながらこれを書いている(遥かなる城達也の「ジェットストリーム」を思い出しながら)。「ながら」をするにはテレビやラジオをつけっぱなしにするよりは好都合である。ブラウザのタブを1枚余分に開いておくだけである。開始日ごろは混み合ってアクセスできませんと出ていたが、今は快適に受信できている。技術的にはとっくに実現していてもよさそうだったネットによるラジオ配信だが、舞台裏ではやはりいろいろと難しい問題があったようだ。

IPサイマルラジオ「radiko.jp」が示すラジオ業界の..(CNET Japan)
ラジオ聞きながら交流「radiko」関連サービス,個人開発..(ITmedia)

 テレビの地上デジタル放送ばかりが話題になるが、ラジオについてもやはり地上デジタルラジオが試験運用されている。しかし2011年7月以降にどうなるかは未定のようで、現行の地上アナログラジオも残るという。それらの関係から今後のネットによるラジオ配信も不透明であるようだ。どうも政策としても、ラジオが置き去りにされているようである。


 ネットのラジオ配信を始めるにあたって、地上波によるリスナーが減るのではないかという懸念があったという。しかしリスナーが減るのではなく、ラジオ機器で聴く人が減るようになるということではないだろうか。だから放送局よりラジオ機器を製造するメーカーの方が打撃を受けることになるかもしれない。代わってiPod(現状ではFMだけ)のような携帯、スマートフォン、あるいはネットに繋がるゲーム機などでもラジオを聴けるような時代になるかもしれない。


 ラジオ業界の事情はともかくとして、固定的なリスナーがいるラジオなどはいずれ100%ネットに移行してもよいような気がする。車の中でもネットに繋がるようになれば(インターネット・カー?)、ネットラジオへの完全な移行が可能であろう。どうしてもネット環境に移行できない部分は当面アナログ放送を続けるとしても、IP電話のように将来的には完全にネットにするべきジャンルであると思う。まずは、リスナーが「ラジオはネットで聴くもの」という感覚を広めることがよいかもしれない。